背景に目を向ける

前に前にと進んでいる人がいるけれど、実際に頑張っている人が無理しているように感じるときがあります。
少しでも楽になればいいなと思い関わるのですが、多くの場合、背景に大きなものを抱えて、足かせがあるのに頑張っていることがあるという場合もあるのです。

もちろん、自分の中に何か気になることがある人も居るのでしょうが、周りの環境や状況を変化させることによって、楽になることもあるのに、自分一人でがんばろうとしてしまっている人もいらっしゃるのが現実だと思います。

クライアントさんの状況は守秘義務があってお伝えできないのですが、友達との話の中での事を少し話します。

彼女はご主人の両親と同居をしています。
本当は外で仕事をしたいのですが、その同居の両親とご主人が自営業なために、なかなか言い出せずに居ました。けれども、ご主人の家族とうまくやりたくて、おうちの手伝いを頑張っていました。本当に友達の私から見ても、そこまで頑張ったら疲れちゃうよと何度となく伝えていたのですが、彼女は「お嫁さんはこれくらいしないと」「主人に恥はかかせられないよ」と言い聞かせるようにして、頑張っていました。

あるとき、時間がとれたので食事を一緒にしようと誘ったら、急に電話で泣き出してしまいました。何があったのか聞いてみたら、頑張ってきたのに、お義母様に「そんなこともできないの?」と言われてしまってショックを受けてしまったそうです。
普段の彼女だったらそんなことでめげるわけがないので、他に溜まっているものがあるのではないかと思い、静かな喫茶店で合うことにしました。

すると、彼女の日頃の努力や、抑えていた感情、我慢してきたことなどが一気に声になって出てきました。
私には話を聞くだけしかありませんでした。

しかし、彼女が頑張ってきた様子はわかるので、「本当はどうしたかったの?」と言うと、「週に一回でいいから華道のお教室に通いたい」というのです。

えっ?そんなことまで我慢していたの?

華道に行けたらそれでいいの?と聞き返すと、「うん。そこで心を静めて、自分の没頭する時間を持てて、大好きなお花に接することができれば、それで落ち着けるし、それだけで感謝できる気がする」というのです。

コーチではなく、友達として接しているので、「なあんだ。じゃ、華道しようよ」と話すと、考えても見なかったという顔をしながら居るので、自営業のご主人(私も友達)を呼んで、私は去り、話をさせました。

次の日、彼女から元気な声で電話がありました。「昨日はありがとう!主人が良いって言ってくれた。今までよくやってくれてたよねってことも言ってくれて、すべて許せる気分!もう大丈夫!」との事でした。

お義母様との関係が原因じゃなくて、違うところを改善するだけで、関係性まで回復しちゃうんですよね。目の当たりにしました。
結局、当の本人には目前の事しか見えてないけれど、違う背景にもっと根っこの問題が隠れていることもあるんですよね。

ちなみに、彼女から昨日も連絡があり、彼女曰く「私、いいお嫁さんでいるの辞めた。勝手にそうしなくっちゃって思っていたけれど、そもそも長続きしないよね。私は私らしく居たいと主人に宣言したよ。すごいでしょ。」との事。
一番伝えたかったけれど、伝えなかったことを彼女は、体験から気づいたようでした。
ちょっと背景というより、目線を変えるだけで変わってみえるものってあるんですよね。

私も「いいお嫁さん」をしておらず、お母さんには甘えっぱなしの私ですから、そうなるに至るまでに彼女と同じような状態を体験してきました。体験談を語ることも簡単だけど、彼女自身が気づいたことって大きな財産になるんだろうなと思い、ここに彼女と私の思いを載せさせてもらいます。

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