考える癖をつける

昨日、とある中小企業様の幹部の方からメールが来ました。「あなたの考えを聞かせて下さいますか」という大きな問いがありました。詳細は書いてあり、その方の考えは書かれておりません。
あなたがこうしたメールを受けたらどう返信しますか。
私に起こった反応と共に、書いてみます。

私はこのメールを読んで、すぐに私の考えを巡らせました。何度も何度もメールを拝見しているうちに自分なりの考えはまとまってきました。何度も何度もこの人に問われた事に応えようとする私に起こった反応でした。
しかし、二つの疑問も浮かびました。「このメールを下さった方はどう考えているのだろうか」「この方が私の考えを聞きたいと思ったのは何故なのだろうか」

私の考えを語るのはいつでも出来る。けれどもこの人の考えを聴いてみたい。そう思ったのです。
すぐに私は連絡をとりました。メールで考えを返信する前に聴いておきたい。そう思い、気付いたら連絡をしていました。

すると、その方は「やれることはやってみたんだけれど、上手く行かないんです。だから、あなたならどうするか聴いてみたかったんです。好奇心とすがる思いです。」と仰いました。私はコンサルさんのような知識があるわけでもないので、コーチである以上、詳細以外にその方がやってきたことをうかがわせていただきました。本当に色んなことを試していらっしゃいました。特に「社員が自発的に動いてくれない」という部分に関しては、何度も何度も挑戦をされていました。

伺っているうちに、私の考えを先に伝えなくてよかったと思いました。
なぜなら、既にやっていらっしゃる事もありましたし、段階としては次のステップ(一度やったけれど、その後どうするか)の部分だったからです。

全部聞かせていただいた後、その方になかった視点だけは口頭で参考にまでお伝えしました。どうされるかはその方次第ですから、あくまで参考に。

そして、その後もう一つお伝えしました。私も何度となくぶつかって乗り越えた壁です。体験を踏まえてお伝えしました。
「自発的に考えて欲しい」と思って、急に問いかけても、社員は今まで指示命令の中で育ってきているので、「正しく応えなくちゃ」とか「何を言えばいいんのか」と、上司の欲しい答えを探そうとします。もっと言えば、入った頃にやる気のあった人ほど、「自分の考えは通用しないから考えないほうが良い」と諦めて考えることをやめている人も居るので、急に問いかけたところで、考える癖が既になくなっているのです。考えなくても良い中で仕事をしてきた人に、質問して応えてもらおうと思ってもなかなか急には難しかったことをお話しました。

その後、私の踏んできた段階についてお話しました。
 1.正しくない事も言える環境つくりのために、日頃から話しをする機会を増やす
 2.何でも話せるようになるために、仕事以外のことを聴いて応えることを習慣化してみる
   ※この2段階まででかなり時間がかかりました。
 3.問いかけてみるが、応えはすぐに求めない。
   ※考える時間をたっぷりあげる。
   その上で、時間や日にちが経ってから、もう一度聴いてみる
 4.答えを出してくれたら、考えてくれたことを認め、一緒に実行してみる。あるいは実行させてみる。
 5.結果に対し、良くても悪くてもその次に繋がるよう一緒に話をする。
   良い場合は感謝を伝える。
こんな繰り返しでした。
3番は、考える癖のない人、或いは考えることをやめた人に考えてもらうので、結果を焦らないことが次に繋がると実感しております。

そんなお話を伝えていたら、その幹部の人が力強い声で仰いました。
「私もあなたに安易に答えを求めたのかもしれない。ただ、今こうして話してみて、会話する事って大切だと思ったし、私の考えも次のステップに進んでいることを実感できたよ。立ち止まってたわけじゃない。進んでいたんだな。先を考える事をやめてしまったら、今の社員と同じ状態になるところだった。社員と一緒に成長していこうと思う。これからも、たまにこうしてコーチングしてください」と、不定期でのコーチングをお願いされることで話しは終わりました。

考える癖を身につけることと、それを発することの出来る環境を作ることは、自発性を養う上で大切な事ではないでしょうか。
自分もぶつかってみて頭じゃなく理解できたこと。ぶつかったら諦めるのではなく、更に考えてみるのは、部下も上司も同じ事。共に成長していきたいものですね。

もしかしたら、近くの人の考える癖を奪っているのは私達かもしれませんよ。

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