リーダーへの遠慮がもたらす影響

先日伺った企業様で、ある課題が持ち上がっていました。それは「リーダーが育ってくれない」という経営者の見ている課題でした。そこでリーダーを育てるために伺っているのですが、そこには・・・

働きやすい職場環境は必要になってくるので、経営者ご自身がそのための「しくみ作り」に取り組んでいらっしゃるのですが、それでも「リーダーが育たない」と悩んでいらっしゃいました。確かに本当にいろんなことをされていて、社員のために本当に気配りもされている経営者です。
そのために社員(パートさんも含む)から信頼もされ、誰一人経営者の事を悪く言わない企業様です。

こうした企業様も珍しいと思いますが、実はそのことが今回の課題を生み出しているのだと言うことが見えてきました。社員の中でもリーダーは既にいらっしゃって、本人達の自覚もあります。お話してみると、会社の事を本気で考えてくださっている方々でもあります。「リーダーが育たない」という言葉をいただく方々にはみえません。

この見解の違いは何なのか?
いったい何をもって「リーダーが育った」という言うのか?

改めて確認しながら、チェックシートなども使い、双方の思いや考えなどを伺っていくと、ありました!

それは・・・。

「リーダーへの遠慮」です。

経営者が一生懸命フォローしてくれている部分で、経営者しかやってない営業的な部分には「触れてはいけない」と思っている社員が居るのですが、確認したわけではないのです。
反対に経営者は、本来社員に任せたいけれど、目一杯頑張ってくれているから、手が足りない部分は僕がしなくてはならないと思っていたのです。けれども内心は、私に頼ってばかりでなく、自分たちで何とかして欲しいという考えもあります。

お互いに「一生懸命やっているから」「相手のために」と遠慮して、誰一人、相手の思いを確認してみようとはしていなかったのです。お互いに優しさで「相手はこう望んでいるだろう」という思いのもとで、今までお互いに踏み込まない壁があったようでした。

念のため、私は社員に確認をしてみました。
「社長には、どういう事を思っているか聴いてみたことある?」
「自分たちの思いを伝えてみたことはある?」
共にNOでした。
それは、言えない雰囲気があるわけではなく、お互いにやれることを必死にやっているからという気遣いや遠慮があってのことでした。でも、その遠慮がもしかしたら見えない壁を作っていたのかもしれないと気づいた社員の二人が、経営者に話しをする時間を少しでも作ってもらうと言っていました。

そのことによって、どうしたいのかも確認してみると、目を輝かせながら、自分たちが更に仕事がしやすくなるのかもしれないことをイメージしているようでした。

お互いへの遠慮がもたらした「見えない壁」
お互いの思いや考えは伝え合わないと見えないままです。攻撃しあいそうなチームであればどうかわかりませんが、この企業様の場合、お互いを尊重しあう風土があるにも関わらず、遠慮があり伝え合えてないことが、誤解を招いたり、更によくなるであろう「提案」もしてはいけないと思わせていたように感じられます。

既に変化を始めているこの企業様が、リーダーへの心遣い、そして社員への気遣いもなくさないまま、お互いの意見交換をされて、更に一体となって成長していかれる事を近くで見ていこうと思います。

信頼されるリーダーにも、部下は遠慮して言えないこともある。結局、リーダーが怖くても、優しくても、リーダーという響きが与える影響はあり、どちらかが自分から歩みよろうとしない限り、見えない壁はすぐに出来てしまうのでしょうね。その壁は、「歩み寄り続ける」事でしか取り払われないのかもしれないとしみじみと思いました。

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