リーダーの多面性

前の職場の経営者には多くの言葉と、学びをいただきました。当時は分からなかった言葉も、自分がリーダーを任されるようになって、解ってくるんですよね。解らないなりに手帳にメモした多くの言葉の中で、時代の「チームの一体感」とは逆光してみえる言葉があります。その一つをご紹介します。

社長は、胃潰瘍の薬を良く飲んで居られました。当時「胃潰瘍は、経営者の職業病だ」と、病気と付き合う事をされていました。
ある日、まだ一係長だった私が「病気になるほど、一人で抱えられなくても、私達がサポートしますから。」とお伝えました。すると、そこは素早く経営者と経営サイドでないものの違いを述べられました。

「経営者というのは、社員と同じ目線に立っているように見せていても、頭の中は常にあまのじゃくなんだよ。社内の景気がいい時には、いいぞいいぞ!と社員には見せながらも、いつ落ちていくか判らないからと懸念をし、落ちた時にどうするかも加味しながら業務を拡大するんだよ。反対に景気が悪い時には、社員が不安がらないように、無理して明るくしながらも、どう乗り越えていくか考え、その先はきっと伸びるだけだと、伸びていく時の準備をするんだよ。じゃなかったら、経営なんかするんじゃない!

これから、あなた達の世代に譲っていくとしたら、そういう事ができる役者のようで、あまのじゃくな発想ができる位じゃないと、これからの時代は一段と生き抜いていけなくなると僕は思うよ。

解るかなあ?解んないだろうなあ。解るようになったら、きっと一人前の経営者になれるよ。」

こう語って下さった言葉をノートに書いておきました。当時の私は経営者になろうとは思っておらず、この会社で社長をサポートして、会社を大きく強い組織にしていくことに貢献しようと決めていたので、社長のサポートのためには、社長の考え、思い、拘りを知っておきたかったんです。
まさか今、こうして自分自身が使うことになるとは思ってもいませんでしたが・・・。

こうしてみた時に、社長という人はきっと「孤独」なんだろうなあ。しかも自ら選んでしているんだろうなと感じました。だからこそ、見えてこない部分について伝えてあげられる存在で居ようと思っていました。
逆の立場で見られるようになった頃に思いました。

チームを成長させ、存続するために、敢えて孤独なあまのじゃくになる。

社長の拘りだったのでしょうが、今だから解る気がします。
この景気だから「大丈夫だよ」と安心させながらも、次の社会経済が良くなっていく時のためや存続のための一手を敢えて今打つ。
非常に力強いリーダーシップの一つなんだと感じました。
数字や先見性という言葉だけでは表現できない、心の強さという能力も感じました。
できれば、職業病とは言わず、いつまでも元気でいて、もっともっと教えていただきたい事のある方なのですが、いつも近くに居られる方でもないので、回数は少ないですが定期的にお会いしに行っています。

チームをひとつにするという方法も多くの方法があり、リーダーシップも色んなその人にあった能力があるのでしょうね。まだまだ修行中ですが、今の私があるのは、この社長のおかげだと思っていますので、他の経営者も同じ事を考えていらっしゃっても、聞けない部分だからこそ、ここでシェアさせていただきます。

あなたの経営者としての拘りは何ですか?

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