伝わる技術?

話しの伝わりやすい人、伝わりにくい人が話し手にもいらっしゃいます。その違いは何なのか。さっと見た本の一文に明確に記されていました。

それは、「これは自分に言われていることなんだ」という意識を受け手がもてるかどうか。だそうです。

単純明快ではありますが、ラジオのパーソナリティの訓練を受けた時に、こんな事を教えられて、それ以来実践しています。
問いかける時には、『みんな』ではなく、『あなた』と使って呼びかけること。

とは言っても『みんな』という言葉を全く使わないわけではなく、一般的に話す時には『みんな』と使い、問いかけたい時や、聴いている人に伝えたい時には、ラジオの向こう側の相手に話しかけるつもりで『あなた』と使っています。

電話会議システムを使っての進行をする時にも、電話の前にはいつもぬいぐるみ(ぬいぐるみが好きというのもありますが・・・)をおいて、ぬいぐるみに話しかけています。
つまり、相手は大勢ではなく一人のつもりで話すことで、仮に視線を確認できない場面でも、見えない先の人が「自分に話しかけてくれている」と思ってくれるであろうという事です。

これが、視線をあわせられる場面であれば、より「あなた一人」というのは表現しやすくなります。
伝える側のテクニックとして使えるものだと感じています。

が、それだけで伝わるのかというと、「伝える」と「伝わる」のは違います。
伝わるためには、相手が受信できる言葉で話すことも大切ですし、相手に関係すると思ってもらえる事も大切です。そのためには、一般論では通じないんだなという事を聴き側に回った時に感じました。

ある講演に参加した時の事でした。その人の話しを聞きたくて行ったのに、話されるのは一般論と、誰か偉い人?の引用ばかりで、「調べれば解る事ばかりだよなあ」と感じてしまったのです。思わず眠気が襲って来ました。
頑張って起きていたら、周りの人たちも寝ている人たちが多く、そうだよなあと思った時でした。
残り10分位になったら、急に自分の体験を話され始めました。語気も変わりましたし、何よりご自身の体験なのでイメージが伝わるように話して下さいました。最後には満足して終わったのですが、気になって本を購入し、サインをもらうふりをして、本人に聴きに行きました。

私   「今日の講演、勉強になりました。ありがとうございました。ところで、どうして最後の10分だけ違う話され方だったんですか。」
講演家「よく聴いてくれてたね。正直、僕講演しないんだよね。でも、みんな寝ちゃうもんだから、何話してもいいかって思って自分の事話したんだよね(笑)」
私   「私はあの部分が1番勉強になりました。ありがとうございます。」
講演家「そうなの?じゃ、これからは自分の事話すようにするよ。(笑)」
私   「また聴きに来ます。」
講演家「え~。また話すの~?やだよ~。でも、せっかくだからね。ありがとね。待ってるよ。」

サインする手を止めて話してくれました。でも、本当に自分の体験を話した時と、一般論を話した時の差を一つの講演で見られたのは貴重な体験でしたし、仮に伝える技術があっても、伝わる事とは違うんだなと感じられたのは大きかったです。

テクニックだけでは見せられないけれど、伝わってしまうのが「体験」なのでしょうね。
私などは一般的には失敗と言われる体験が凄く多いので、その体験こそ宝物なのかもと思うことができました。

伝えることのテクニック
伝わるための体験と、相手の受信できる言葉で話すテクニック
共に磨いて行きたいなと思います。リーダーの皆様も是非。

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