ミーティングで部下をやる気にさせたリーダーの話し

コーチングのクライアントさんにシェアさせてもらっていいですか?とお願いしました。その方の元上司A氏のお話ですが、クライアントBさんのモデルになる方で、そのやり取りが非常にわかり易かったので、シェアさせていただきます。

まず、リーダーが急を要するであろうけど困っている部下Cを見て、緊急会議を召集したことに始まります。
A氏は月に1~2回会社を訪れるそうです。その時にBさんからCさんの話しを聴きました。そこでA氏は、Bさんに「ミーティングをしたほうがいいんじゃないかなあ」と提案をします。その上でBさんはすぐにAさんの居るその日にメンバーを集めて会議をすることにしたのです。

ファシリテーターはA氏がやってくれることになりました。今日のテーマを確認した後に始まってみると早速A氏の一言でした。
A 「Cさん、現状はあなたが一番良く知っているから、Cさんの持っている情報をホワイトボードに書いてくれないかな」
C 「はい。」 (ぼそぼそ独り言を言いながら、情報を記入する)
A 「そうかあ。じゃ、君が今していることはどんな事なの?ゆっくり良いから、貴方の持っている材料を出してみて」
C 「はい。」(またぼそぼそと話しながら現状を記入)
A 「ありがとう。他にもあるかなあ」
C (書き足す)
A 「そうかあ。現状から言うと5/20の確率という事は、倍にするには、分母を40にしないといけないんだな」
C 「そうですね」
A 「そのために君がプラスα出来る事って、どんな事があるかな?」
C 「●●とか、●●でしょうか。」
A 「そうかあ。いいねえ。で、分母は40になりそう?」
C 「いいえ、30までは行くと思いますが・・・。」
A 「わかった。じゃ、残り10をどう上げていくかを皆で考えるとしよう」
・・・・
と、ここから分母を10増やすためのブレーンストーミングと、実際の行動について考えていったそうです。

その会議後、更にAさんはBさんを呼び、次のように言ったそうです。
A 「今日のようにC君の課題に対し会議を召集したのは良かったよね。ありがとう。
  ところで、B君。もし分母40で分子が10になったとしたら、その後の分子が減る確率ってわかるかなあ?」
B 「はい、昨年から考えると、一年で半分になります。」
A 「そうかあ。だとすると、またこうした事が起こるかもしれないんだね。
   そのためにできることは何かあるかい?」
B 「●●とか、●●でしょうか」
A 「いいねえ。部下が持っている資料などを使いながら、先をみてこういう分析と対応がしていけるようになるといいよね」
B 「解りました。ありがとうございます。」

この会議を通して、Cさんは、自分の責任という事に気づいたのか、その後は仕事の取り組み姿勢が変化し、解らない事はBさんに聴きにくるようになったそうです。
そして、Bさんも、数年前にも言われた事がこういう事だったのかと解り、先を見るということと、部下の頃とマネジャーの見る視線の違いや、自分にできることと部下にできることが違う(今回で言うと会議を召集すること)という事を体感でき、仕事の質を変えるきっかけになったそうです。

すべてのやりとりがそのまま体現できているわけではありませんが、聴いていて私も意識してやってきたことと同じような事がされていて、これだったのかと感じさせられました。

それは、「現場の事はそこで働いている部下が一番解っている」「情報はその部下が一番持っている」という事です。
そして、周りの人達も「この人はあのデータを持っている」とか「あの人はこういう事が得意」という事を知っていると、相手が自分の能力を活かす仕事をしながら、認めていることにもなり、結果として「やりがい」を持って働いてくれるのではないかという事を考えながら、部下を日々観て、チームとして一人ひとりが、自分の役割を感じながら、責任を持てるように。そして、工夫をできるように話しかけていました。

なんだか自分自身の過去も一緒に肯定されているようで、クライアントさんのモデルA氏の話しがすごく心地よくも感じました。と同時に、今、自分が所属している組織の中で、その事をできているかと言うと、自分自身が人任せにしてしまっていて、自分が関わる事にコミットしてないのではないかと感じざるを得ませんでした。

リーダーとして、仲間がやる気になるコミュニケーションの方法は知っているつもりでも、出来てない事を痛感しました。
出来てないなら、今日からまたやればいい。

単純な事だけれど、まず自分がコミットして、「つもり」の事を形にしようと思いました。
自分が一番知っていると勘違いしちゃってたのかなあ。反省。よしっ、リーダーとしてチームのメンバーが知っていること、やっていることにもう一度目を向けてみよう。

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