育てるという事にはエネルギーが要るんだなと改めて感じた事がありました。それは、上司が部下を育てようとする時に、あるものが共有されていないと、部下に違う反応が起こってしまうことを見たからです。
転職して急にリーダーの位置に置かれたAさん。任されたチームには5名の部下が居りますが、中でもBさんは、仕事の範囲も狭く、感情的。Aさんは、このBさんを育てようと、必死になっていたのでした。
ところが、すぐにBさんが感情を表に出し、仕事を断ってくるために、Aさんはどうして良いか判らなくなってしまったのです。Aさんの上司に相談してみると、どうやらこのBさんは、元々仕事の出来た人なのだが、ここ最近メンタルでダウンし、その後二人の上司についたが、今と同じ状態になってしまい、上司二人は成長を諦めてきたのだと言う事が解ったのです。
Aさんは、Bさんの育成を諦めたくはなく、懲りずに話をする時間を持つのですが、いつものように感情的に怒って、Aさんが仕事の内容を知らないのに上司になった事を責めるばかりでした。
メゲそうになったAさんが、私に相談にいらっしゃいました。
私は、Aさんが毎日頑張っていらっしゃることが伝わってきたので、そのことを讚えながら、具体的に話を聴いてみました。
すると、話の中には、過去と今の話しかなくて、「未来」が聞こえてこないのです。
改めてAさんに聴いてみました。「これからどうしていきたいですか」
Aさんは、これからBさんにどうなって欲しいかを言葉にし始めました。
「そのことをBさんに伝えたことはありますか」と更に確認しました。すると、確認はしてないようです。
「未来の話がされてないように感じます。これからどうなって欲しくて、Bさんはどうしていきたいんだろうか。私だったら話してみたいです。」
すると、Aさんは「あっ」と声をあげ、「そうだよね。今の状態の改善についてばかり話しているから、要は彼女に駄目だしばかりしているという事なんだな。それじゃ、守りたくなるよな。解ったぞ!ありがとう!」
そう仰ると、明るい声で電話を切りました。
その後、話してみても、急に未来の事を話し始めたため、Bさんはビックリしていたとのことです。けれども、何か変わるかもしれないと、Aさんはワクワクされているようでした。
育成や育てるという時に、お互いがどのように育って欲しいか、どんな風に育って行きたいのかを、共有しておくと、先のイメージが湧いて安心して挑戦もしていけるのではないでしょうか。
考え方の一つの断片でしかないでしょうが、今回のような場合には、特に大切な事なのかなと感じました。
私の場合は、こうしたものがなくても、挑戦することが楽しかったので挑戦できましたが、エネルギーが極端に落ちている人には、イメージがあることは助けになると私は考えています。
成長とは、きっと挑戦し続ける事ではないでしょうか。この挑戦には不安や心配もあります。その人にとっては初めての事に挑戦することが多いのでしょうから。
私も、エネルギーが極端に薄い人のおしりをいくら叩いてみても、なかなか挑戦してもらえませんでした。上司ももがいて居ましたが、きっとその部下も駄目出しをされ続けているようで、辛かっただろうと今は思います。
そういう挑戦を少しでも軽くするために、イメージが湧いている事と言うのは大切なのだと私は思います。
誰かの参考になれば・・・。そんな思いで、ここに記させていただきました。
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