巣立ちを見送る

ある経営者にお会いした時に、感動したことがありました。
それは、社員の巣立ちを見送るという視点を持っていらっしゃることでした。

その企業は、中小企業ではありますが、採用に困ったことがないそうです。
そんなに採用する人数が居ないからではなく、正直、辞める人も多いのです。
辞める人が多いと聞くと悪いイメージをお持ちかもしれませんが、その企業では、「巣立っていく」事を推奨しているのです。だからこそ、巣立つ人が居て、また巣立ちたい人達が入ってくるというサイクルが出来上がっているそうです。

そのサイクルを作るまでは大変じゃなかったのかを伺うと、「正直、最初はせっかく育てた子達が辞めていくのが、淋しくて、辛くて、僕の何が悪いのか、と責めた時期があるけれど、辞めた奴らが、みんなお礼を言いがてら、遊びに来てくれるんだよね。その時に、ああ、この子達は巣立って行ったんだな。親だったら巣立って行かれるのは淋しく感じるだろうけど、同じだなあ。と思えたら、反対に巣立てるように育てようと思ったんですよね。だから、積極的にいつか起業したい子達ばかりを集めるようになったんです。」と、凄く感情豊かに、楽しそうに語って下さいました。

そう思うと、スイッチが切り替わって、経営や人材育成も体験できるように、店舗を自分の見える範囲の所に作って、運営を任せました。その際に、どのように経営はしていくことが大切なのか、持論ではありますが、教育も参加自由で行う事にしました。
準備する僕も大変ですけど、自分の子供達が巣立って、失敗するのは見たくないですからね。

そんな話を伺いながら、経営者の思いも素敵ですが、若い人達が「いつか起業したい」「いつか社長になりたい」と目標を持っていて、しかも口に出来るほど強い思いを持っているんだなあという事も感動をしました。

きっと感動の原点は私の問題意識だと思います。
私のテーマでもある「いかに一緒にやっていく人を育てるか」を最近は考えていたから、ちょうど良いタイミングで別の視点が頂けたからだと思います。

私には、より多くのお客様に笑顔になってほしい!輝いて欲しい!と言う思いだけは強いけれど、果たして、パートナーになって下さる事の先まで考えられていただろうか。まだまだ自分本位だったからこそ、なかなか見つけられなかったり、育てたと思っていた人が、突然居なくなって、ショックを受けたりしていたんだろうなと、自分の視点の狭さを痛感しました。
また、育てた方にどういう場で活躍してほしいのかを伝えられていただろうか。自分の思い通りにしようとしていただけではないだろうか。

反省ばかりではありましたが、この経営者から頂いた視点を基に、もう少し考えの幅を広げてみたいなと思いました。
改めて、外部の人には本気で関わっていながら、本気で自社の人財育成をしていく覚悟があったのだろうかと問いかけてみたいと思います。

あなたは、本気で、人材育成をしていますか。

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