リーダーの背中を見て育つわけではない

「リーダーの様子から学べ!と昔はよく言われました。だから、下の子達にもそうして背中を見せているつもりなんですけれどね。」と、職人出身のリーダーが、勝手の違う部下指導に悩んで居らっしゃいました。
たしかに見て学び、やって覚える事ができたら良いですが、世の中の移り変わりが早い中では、それだけでは上手くいかない育成もあるのでしょうね。

とは言え、昨日の父の話しではないですが、親から生活を通して学んでいる事は多く、親が足で扉を閉めれば、その子供も自然に足で扉を閉めるのに、親が「なぜそんな事するの!」と怒る。すると、子供は「だってお母さんがしてるじゃない!」と反発。
良いことだけ真似して欲しいと思っても、良い悪いの判断も含め、親から学ぶ子供にとっては、親がすることは良い事だと認識するのでしょうね。
そして、口癖や、癖などから、その家庭の価値観を自然に共有するようになります。

その後、大人になり、組織に属するようになると、違う価値観の方々が集まるわけですから、背中を見て学べと言っても、見る所さえ個性が出てきてしまいます。
覚えて欲しい事に関しては、教える事も重要でしょうし、基本を身につけてもらう事から始まる事だってあるかもしれません。

先日、新人研修を行いました。
私は、部屋の出入口の入退室の際も挨拶をします。誰かが気づいて真似してくれるといいなと思っても、誰一人気付きません。「私の振る舞いから、何か気づいた人は居ますか」と尋ねると、シーンとしてしまいます。宛ててみても、応えられません。「入退室の時、何をしているか気づいた人」と聞いてみても、誰一人居ません。

そもそも、入退室が気になる人自体が居なかったのです。
そこで、今後何気にしている事で自分と違う事を見つけて見てください。とお話をしました。

数時間後、確認してみました。
「講義の時間以外でも、いつでも笑顔です。」
「入退室の時と仰ったので、見ていました。挨拶をされていました。」
一つ目は、意識していなかったので、私自身も発見となりました。二つ目が出てきてくれて、今後、皆さんもしませんか。と呼びかけました。すると、「なぜ出入口で挨拶をする必要があるのですか」と。

挨拶がある場合とない場合で考えてもらいましたが、結果は解らず・・・。
そこで、私自身が今度は入退室の時に挨拶をしないで出入りしますね。と宣言して、違いを感じてもらいました。

「いつ出て行って、いつ入ってきたのか解らない。」
「長く席を外されるのか、ただ扉を開けに行っただけなのか解らない。」
「気にならないので、必要ない。」
など、多くの意見が出ました。これが職場だったら?という観点で話した結果、やっぱり、誰が出かけたのか、戻ったのか解る方が良いという事が解りやっとやってくれるようになりました。

ある「今どきの新入社員」という記事を拝見した時に、「自分から学ぶ事に慣れていない。理論派。体験から学ぶ事が不足している。上下の人間関係が苦手。」などとありました。全てがそうであると言うわけではないのですが、「なぜ?」を知りたがるのは、今回もそうだったなと感じました。

その理由が解らないと、背中を見ただけでは学べないし、気づけない。だから、その後の言動を変えようともしないんだなということも解りました。
これは、実は新入社員に限らず、私達にも少なからずあることかもしれません。が、理由が知りたいという事があるのは顕著なのかもしれません。

私達は、背中を見て育ったこともありますので、理由を聞かれると応えられない事もあります。そしたら、一緒に学ぼうとしても良いのではないでしょうか。
また、応えられるように私達自身も「なんでだろう?」という問いをしながら、学び続ける事も重要なのではないでしょうか。

ふと新人研修を通して感じた事でした。
明日から、新人研修もピークを迎えます。今年はどんな出逢いと、学び合いがあるのか、楽しみです。
私の背中を見て育って欲しいではなく、私自身も時に一緒に、「何でだろう?」と考えていきたいと思います。

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