知らないことは気づけない

これも職場で起こりうることではないかと思いましたので、共有させていただきます。
知らないから気づかないのに、「何か気づかない?」と伝えた挙げ句、「気が利かないね」と、お客様や同僚に向けての態度に対して、上司が放った一言。
部下であるAさんは、なんのことだか解らないのに、「気が利かない」と言う評価だけをされて、上司の顔色ばかり伺うようになりました。

上司にとっては当たり前でも、きっとその人にとっては、「知らないから気づけない」だけのことってよくある話しではないでしょうか。

最近、個性の尊重として、学校教育でも「ルールの意味」を問われ、意味がないものは柔軟に対応されるようになってきたと伺います。
けれども、意味がなくなってきたものは社会の中であったとしても、「慣習」は残っていて、特に日本では「察する」ということが大切に
されている気がします。

でも、察するって言葉はあっても、教えるとなると難しいのではないでしょうか。
慣習だったとしたら、常日頃の生活の中で身につけていくものなのかもしれませんが、「気が利く」というのは、教えづらい。
ましてや、当たり前だと思っていれば、教える必要も感じず、評価だけしてしまう、ということがあるように思います。

今回の「気が利かない」と言われたことに関しては、懇親会の席で、上司の飲み物が空になっていて、Aさんの目の前にはお酒があるという状態。
「何か気づかない?」と言われても、そもそもAさんは高卒入社で、最近20歳になったばかり。初のお酒の飲める懇親会の場です。
今までも部署内の懇親会は参加しても、お茶やジュースなので、注ぎ足すものではなく、せいぜい空になったら頼むという位しか経験がありません。
でも、上司にしたら、「それくらい知っているだろ?」というのです。
「気が利かない」のではなく、知らないのではないかと・・・。

私は話を聞いただけなので、その場にはおりませんでしたが、上司側の話を聞く限り、Aさんも落ち込んでいるのかなあと思っていました。

が、Aさんはコーチングの対象者なので、コーチングセッションの時間が早く終わったので、その話もしていると、すっかり忘れている様子。「気が利かないと言われましたが、なんのことだか解らないので、忘れることにしました。」と、あっけらかん。

考えてみたらそうですよね。
「こういう時にはお酒を注ぐんだよ」とも教えられてもいないようなので、ただ評価をされた、としか思っていないわけです。
ただ、「上司の顔色を伺うようにはなりました。何がいけないのかも解らないので、今何かやっちゃってないかな。これでいいかな。と観てないと解らないんです。」と。

そうだよなあ。と思いながら、あまり引っ張ることもできず、頑張ってね。と終わりましたが、上司にもその話をすると、「えっ?!知らなかったの?ええ、常識でしょ。でも、そうかあ。僕の子供にもお酒のこと教えてないもんなあ。そうだよなあ。僕が教えてあげないといけないのかあ。そうかあ。」と反省しきりでした。

そもそも、知らないことは気づけないし、評価だけしても、その後にも直せない。
知らないだけかもしれないから、教えてあげることも重要なのでしょうね。特に、私達の中で常識って思っていることほど。

私も数多くの失敗をしています。
お家では、同じ箸で大皿から取るのも普通にしていたから、そういうものだと思っていたら、菜ばしがあった。
菜ばしは使えるようになったけど、バーニャカウダを初めて食べた時には、二度付けしちゃった。周りはドン引き。
お酒を注ぐのは小さい頃から父にしていたから、気づいてお酌をしていたら、人のペースを観て注いでないと無理に飲ませているようになると言われた時には、ダウンしている人が近くに居た。

知らなかったんだもん!と、言いたいけど、その場で教えてくれる人には感謝できるけど、その場に居て、「知らなくてすみません」という謝罪もできぬまま、それ以降一切お会いできなくなった人たちも居ます。

人付き合いに関することは特に、自分の環境の中で当たり前だったことを「普通」と思ってしまって、それが社会の常識とずれていても「知らないだけ」ということだってあると思います。

「知らないだけかも」そんな視点も持って、周りをみて、声をかけたいものですね。

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