最初の質問が主体性を左右する

研修の時もそうですし、コーチングもそうですが、最初の一言で何を言うのかって、凄く自主性に関わるんだなと感じています。

例えば、コーチングで、テーマが伺えて、本題に入る時に、「じゃあ、◯◯はどうですか」と質問するのか、「この後の話しはどう進めましょうか」とか「私はどう関わったら良いでしょうか」などと確認する場合では、その後の展開が全く違います。

前者ですと、「あなた質問する人、私答える人。その中で気づきを与えて下さい」のような受け身になりやすいです。まさにコーチの力量が大きくモノを言います。
後者ですと、「主導権は私、あなたは関わってくれる人。」という主体が本人にあります。ですから、もしも「思いついた事を質問して下さい。」とリクエストされても、「質問されることで自分で何かを得ます。」というような主体的な関わり方に感じられます。

実際に、セッションを終了した後の振り返りなどでは、後者の方が、得ているものが多かったり、気付きも結果として多いようです。

かと言って、前者が悪いわけでもなく、コーチングへの理解度も影響している可能性はありますし、私自身が相手にマッチしているのかも関わるかもしれません。けれども、主体的になれるかどうかは、全く違うように感じています。

研修でもそうです。
自分の中で、この事を解決する一日にしたい、とか、これを知りたいなど、目標が明確になった上で進んだ場合と、私から提供しますよという感じで進んだ場合では、同じ内容をしても、明らかに自分で目標を明確にして進んでいる場合の方が、得るものは多いですし、その後に活かしてもらう確立も高いです。
つまりは、受動的か主体的かの違いが、研修の場合も現れてくるのです。

コーチングなどで間違ってはいけないのは、「主役は誰?行動するのは誰?」です。

先日、ある管理者達のミーティング運営を依頼されて、ミーティング運営をさせていただきました。「問題は出るんだが、自分たちではなかなか解決策まで辿りつけてない。仮にたどり着いても、ありきたりだから、やる気も起こらない。活性化したいんだが、来てくれないか。」という飛び込みの依頼でした。
飛び込みなので、会社の事はホームページで拝見し、ミーティング前に管理職のお一人から現状を改めて伺いました。

その上で、私がミーティングの最初に行った質問は、一つです。
「私達が管理者として抱えている問題は何ですか。」

皆さん、黙っていらっしゃいました。
理由は分かりますか?

今までも「問題」の抽出はされています。
が、背景で起こっている問題ばかりが出てきていました。そこで、「管理者として」という一言を入れただけです。
問題を抽出し、それに対し、今までやってきた行動を並べました。
すると、ある管理職Aさんがおっしゃいました。
「おいおい。部下に行動しろという割には、これじゃ、全く動いてないと同じじゃないか。口ばっかりだなあ、俺ら。」
するとBさんが「いや、やれることはやってきたよ。ちゃんと指示も出してきたし。」
Cさん「そうですよ。色々言い方も変えてますし、人事もいじってますし、やれることはやってますよ。」
Dさん「Aさんが言いたいのは、動いたかって事で、伝え方じゃないんじゃないですか。」
Aさん「そうだよ。俺ら、口ばっかりで、それ以外考えてないよなあ。仮に俺らが動けないとしたら、動かすために何ができるかだろ。」
(全体の沈黙)

そんなやりとりがあった後に、最初に情報をくださり、私に依頼してくださったEさんがおっしゃいました。
「今までこういう話しは出なかったですね。何が違うんでしょうか。同じことが会社の中でも起こってるんじゃないですかね。」

更に沈黙が続きましたが、一旦休憩にしました。
たばこを吸う方のいらっしゃらない管理職ばかりでしたので、休憩に入っても、皆さん腕組みをしながら座っていらっしゃいました。そして、少しずつ会話が始まります。
「あのさあ、小林さんは何をしたんだい。失礼だけど、外部から来てもらっても、いつもの会議進行と変わらない気がしているんだけど、確かに話している内容は違うんだよなあ。何をしたんだい?」

私に注目が集まってしまい、「この後の内容にも絡みそうなので、黙っておきたいですが、答えた方が良いですか。」と答えると、「そうか。自分たちで考えろって事だよな。解った。」と少しイライラした様子でしたが、笑ってスルーしました。

再開した後でした。先ほどイライラされていた方が口火を切りました。
「私達は、考えさせようとしていたかなあ。さっき休憩の時に、小林さんに答えを求めたけど、自分たちで考えてみろって感じの態度だったよ。少しイラッとしたけど、私達の事として考えて、私達が考えるかどうかなんじゃないかなあ。」と。
「そういえば、さっき小林さんは、管理者としてって言ってくれてたよな。いつもはそんな事言われないから、出しやすかったけど、管理者としてって言われると、問題出すのも考えちゃったよなあ。」

その後、どんな展開があったのかは、企業様の内容にも、工夫にも関わる事ですのでお話できませんが、いつもと違う展開が生まれ、いつもと違う対策がとられました。
その後がどうなのか、報告下さるそうで、その後が楽しみです。

この時もそうですが、最初にどんな問いをするのかって凄く重要なのかもしれません。
あなたは、主体的に動いて頂きたい方に、どんな言葉を投げていますか。
これからどんな質問を投げてみますか。

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