コーチングを学び始めて出会った本は数えきれないのですが、その中で面白くて、自分自身も考えさせられた本があります。
「行動が変わらないのは能力ややる気が原因ではない」という発想です。
強みを活かすという発想の元では、いかにモチベーションをあげて、その人の能力をチームの中で発揮してもらうかなのだと、リーダーの頃に本当に真剣に部下と向き合ってきました。そうすることで、非常に変化してきて、自分たちでやる気をコントロールする人も出てきたり、コーチングと出会って関わってきた事は無駄ではないと感じた事は少なくありません。
ところが、続けるという観点からみると、一時的になってしまう事も多くて、自分を含め、なんで?と思う事も沢山あります。
そんな時に、コーチングの学びの中で、どのようにパフォーマンスをマネジメントするかという視点の話し合いがされる事があり、話の進行をかなり長い期間任される事になりました。
自分自身が明確でないことを参加者と共に学ぶ機会ではあるけれども、参加者はそれを望んでいるわけでもない。何を基軸にするのか。そんな時に出会ったのが、行動科学という言葉でした。
「人は能力ややる気で行動を変えるのではない」「行動させるために何をするかも大切だけれど、その人が行動したことに対して、何をするのかをマネジメントすることが大切」と言う発想でした。
つまり、ABCモデルとも言われるのですが、
【ABCモデル】
- A:Antecedents 誘発要因(きっかけ)
- B:Behavior 言動(実際に起こった事)
- C:Consequences 行動結果
このCに対し、プラスの感覚を持つと更にやろうとするが、マイナスの感覚を持つと止める。
だから、行動したことに対し、すべての行動はこのABCに分けて考える事ができ、Cをマネジメントすることで、行動を変化させる事ができる。しかもできれば1分以内のCについてマネジメントするという発想です。
更に続けていくためには、継続するための仕組みを作ることも大切という事も言われていますが、まずはこのABCに分けて考えると、Cに意識が向いてないことに気づかされました。
そう考えてみると、「あの部下はモチベーションが低い」とか「能力がこの程度なのか?」と思っていた部下に使ってみたくなりました。実験というには失礼だけれど、実際に部下がそれで育ってくれたらこんなにいいことはありません。
そこで、早速部下をABCモデルに照らしあわせて分析してみると、確かにCでプラスになる要素がないのです。本人でプラスにできないのなら、自分がプラスにしてあげることはできる。それが承認することだと言うのです。
まずはその承認の言葉かけも、既に色々試していたので、どんな言葉かけに反応するかは解っているつもりでした。ですから、早速承認することを試してみました。
すると、たしかに今までだったら、次はなかったのに、言わなくても次の行動へと繋がったのです。しかも、前より良い成果を出そうとしている様子まで見られました。
「うわっ、誘導できちゃう」というのが、最初の私の印象でした。ある意味人をコントロールしてしまっているようで怖ささえ感じたのです。しかも相手が納得感ないままに行動させてしまうと、結果として全速力で走り続けろと言っているようなもので、しわ寄せが来る事も予想できました。
そこで、部下とは何をしていきたいのか。そのために行動していくことは何なのかを話した上で、その行動をサポートするために、このABCモデルを使う事にしたのです。すると、みるみる成果は出てきました。
「能力ないと思っていたけれど、こんなにもできるんだ」というのが衝撃でした。能力のせいにしていたけれど、私の関わりを変えるだけでこんなにも行動が変化するんだなと感動すら覚えました。本人も「里江さんのおかげで・・・」と今でも言ってくれますが、私は恥ずかしながら「実験」に使ってしまっただけなのです。
ただ、それ以降、能力がない事のせいにはしなくなりました。やる気のせいにもできなくなりました。
いかに私が関われるのか。どのようにその人がなっていきたいのか。
その点を大切にできるようになりました。
こうした体験を元に、話し合いの進行をさせてもらった数年というのは、他の方のABCなどにも関われた良い機会となりました。
今またこの段階に戻って、共に携わっていく仲間を得た事で、日々ABCモデルと向き合っています。
ABCモデルや、行動のしくみ作りについて知りたい方はこんな本も読んでみてくださいね。
2冊目に読んで、わかりやすかったのでオススメです。
最初に読んだ本で、行動科学というものについて知るきっかけになった本
3日坊主の人はあなたが悪いんじゃないんです。しくみを作るんですよね。コーチング自体、このしくみを使っているんだと思います。
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