マネジメントリーダーに問われるもの

私の日記を振り返ってみてみると、いつも葛藤していたことがあります。それは管理には、数字がついてくるということです。当然のことではあるかもしれません。けれども、人と数字が仲良くやっていける方法はないのかと試行錯誤の日々でした。「コーチングは甘い!」という人も居ます。それは全てをコーチングに頼るからでしょう。コーチングは一つのツールに過ぎないということを忘れないでいただきたいです。その上で、自分が試行錯誤した中で分かったことです。

私が中小企業に入った時は、正直公務員上がりの私には数字の意味さえわかってなかったのかもしれません。ただ日々を楽しく安定して過ごせることだけを願っていました。けれども、企業が安定するためには成長が欠かせず、また売上げを上げていかなくてはならないという危機に総務としても直面して、初めて企業に数字は欠かせないと知るわけです。ただ変化を見ているだけのものではない。そんな事すらピンと来てなかったのです。

仕事が減り辞めていく人達をみて、生活を維持することへの危機感も感じました。人間関係がうまくいかずやめていった人達と接し、人間関係がいかに大切なものなのかを知りました。
でも、知ったときには私は事務所という隔離された場所で社長と上司しか居らず、またお二人が忙しかったために、私一人で仕事をこなす時間が多かったのです。知ってはいても、それがいかに難しいことなのかを体験することはその当時の私にはなかったのです。

しかし、その後、リーダー以上の一掃が行われたことがあり、急に私は現場とかかわりながら、お客様に接する窓口となりました。知識だけの私が急に現場に放り出された瞬間でした。それでも私は「できない」とは言いませんでした。なぜなら、状況が把握できていたので誰かがやらなければいけないことはわかっていました。私が断れば、誰かがやる事になるだけです。状況は同じであれば、やってみようじゃない!と思ったのです。

でも、そんなに単純ではありませんでした。仕事を頂いてきて現場にお願いしても数字が達成できない。時間を区切って更にお願いをする。けれどもまだ足りない。自分でとってきた仕事だから責任をもってやりたいから、現場の手伝いもする。すると、自分の伝票を作成する時間が足りない。明日の計画を立てる時間がない。とにかく毎日が戦いでした。

数字との追いかけっこ。その事に夢中になりすぎていたときに、現場から声が出ました。「いつまで続くんですか」「もう無理です」困った顔で話す社員にも、「仕方ないでしょ。仕事があることは有難いから毎日やるだけだよ」と自分の考えを押し付けてやっていました。
しかし、インフルエンザの流行る時期でした。急にパートさんが「今日は休みます」という電話が相次いだ日がありました。子供さんがインフルエンザになったという事でした。現場が動けなくなりそうな気配。3分の1程度の人が休みです。でも、ありえないよね。といいながら、上司が休んだ人に電話をしてくれました。

するとなんと「便乗休暇」がかなりあったのです。つまりインフルエンザにかかったことにして休まない?と相談をして決め手、休んでしまった人達が居たのです。
上司はたまには仕方ないよ。明日から出てきてくれればいいじゃない。と言ってくれましたが、私は自分を責めました。「私がもう少し人のことを見ていれば」「でも数字はあるしどうすれば・・・」

当時の私はお客様とのやりとりだけは、うまくいっていたようで、仕事がどんどん拡大していました。だからこそ、負荷が増えるのは現場の人達なんです。
終わってからの時間、何度も計算をしました。机上の空論と言われようとも、可能性をどう導き出すかは私には大切な事だったのです。
日々試行錯誤は続きました。けれども、所詮事務職の人間です。とうとう、現場の各リーダーに今までとは違うお願いをしました。

今までは「この数を何とや何時までにやってくれない?」という一方的なNOといえない質問をしていました。けれども、「○時までに仕上げたいんだけれど、何か知恵はない?」「どうしたらできる?」私は時間や日程の調整をしてみるけれど、現場の事はあなたが何か考えて、調整できないときのために動いておいてくれない?というお願いをしたのです。
現場の人達にも手伝いに入ったときに聞きました。「これって今1時間○個だけど、あと1時間に50本。1分で1本弱なんだけれど、余分にやる方法ない?」と聞いてみました。

必死に私がはじいた数字の中で、「この数字が確保できれば?」という割り出しをみんなに「あとは何とかしてくれない?」と話してみることにしました。

すると、出来るんですよ。1時間に500個しかできなかった検査が550個に。8時間動いたら400個、つまり1時間弱も余分に働いたのと同じだけの事をできるようになっていたのです。

素直に「ありがとう」っていえました。みんなも嬉しそうでした。
「数字」で「追い込む」こともできるけれど、「達成感」に変えることもできるんだと思いました。それから、達成感を持たせてあげられるような数字を計算しては、お願いをして、また感謝をして・・・。

そんな事を続けていると、また限界が来ました。結局、これならここまで仕事が入れられると、どんどん更に仕事をとっていたのです。「要領よくしても、どんどん仕事が入ってきて、キリがない」とまたみんなのやる気は落ちていきました。

確かに、計算でももう限界値でした。機械ならまだしも、人ですから、オンとオフは必要でしょう。
上司に相談をして、人数を増やしてもらいました。まだ仕事が増えそうだという事で、既に社長が工場の整備をしてくださっていたので、受け入れる場所も充分です。

一気に30名が入社しました。けれども、いきなりハードな仕事です。入って1ヶ月以内で10名の方が去りました。新しい人を育てる環境が整備されてなかったのです。でも、やるしかない。現場のリーダーも頑張ってくれました。私達は入った人に「なれた?」「大変でしょ」「1週間で仕事にはなれるからね」そんな言葉をかけるしか出来ませんでした。けれども、そうした言葉一つで辞める人は居なくなりました。
人って見てくれている人が居るってこんなに大切な事なんだと知りました。

数字と人。マネジメントリーダーには期っても切り離せないものです。
けれども、数字と人が仲良くできる方法を探してみませんか。それがマネジャーの仕事のひとつなのではないでしょうか。

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