待つこと、放置すること

リーダーになりたての頃、思ったら即行動と思って関わっていました。
上司に関わって欲しい事があったのでお願いをしたら、「解った」と言いながらも直ぐに動いてくれない事にイライラした事がありました。すると上司は「まあまあ。焦らないで。タイミンングもあるし、相手の反応を考えた上で動きたいから。」と。

それから3日間位経っても動きがなく、「早くしてほしい」と言う思いがある私は、信頼関係が出来ている上司だからこそ、率直に確認しました。
にこやかに「うん。まだだね。もう少し待ってて」と。いつまで待てばいいの?と聞いても、タイミングがあるからと応えるだけでした。

お願いをしてから1週間が経ちました。さすがに「放置ではないか」と思い、このままにしていたら、辞めていく人が出てしまうから、何とかしてほしい。と再度思いを伝えました。それでも、まだだよ。と。

最初にお願いをしてから約10日後の事でした。一人が「辞めたい」と言ってきたんです。
私としては「ほら。早く手を打たないから。」と思っていたのですが、上司はこのタイミングを狙っていたようなのです。
「辞めたい」と言ってきた人の話をじっくり聞き、続けて欲しいから何がどうなったらよいかも確認し、数日時間を欲しいと辞めたいと言ってきた人に時間を持ちました。

その後の行動は、既に待っていたわけだから早かったです。原因とされる事について、関係者、上司などにも話を聞いたり、どうなるのが良いかを確認した上で、考えられていたリスクについても話し合い、一番良い方法を模索する段階にすぐに入りました。
結果的に、原因となった事は減少し、辞めたい人も継続となり、辞めたいと言い出せなかったけれども結構辛かった人達も救われる事になりました。

あとから、上司に「早目の方が良かったと思うのに、なぜあのタイミングだったのか」を聞いたのですが、上司なりの意図を説明してくれました。それを「待つ」必要性があったということを。

日々変化していく仕事と、毎日のように膨大な量の仕事がある中で、私自身は懸念材料になることは少しでも早く何とかしたいと思っていたのに、上司は早いからこそ起こるであろうリスクについても教えてくださって、「今だから待つ」という選択肢がベストであるだろうと言う事を教えてくださいました。
すぐ思いついたら動くことが、一番のリスク管理だと思っていた私には衝撃的な選択肢だったのです。

「放置」ではなく「タイミングを待つ」事だったとは・・・。
そこには、原因となることだけでなく、周辺環境の事まで考えたらどうか。という奥深さもあったのです。

その時からでしょう。私の中に「待つ」という選択肢が生まれたのは。

ただ、私のように、テンポよく仕事をしている人達には「放置」に見える時期が多くあるのだろうと思います。けれども、行きつく所は、動くのも、変わるのも、当事者の意思も必要だし、周りに与える影響も考える必要があるという事。
「人」ですものね。

当たり前の事なのに、「待つ」事でのリスクはたくさん考えられるのに、早く動いた時のリスクは考えられていなかった私には、あの時の出来事は本当に衝撃で、今でもたまにあの出来事そのものを思い出す事があるのです。

「放置している」のか「待っている」のかは、確認しないと解らない。確認したところで全てが解るわけではありません。けれども、確認することは必要だったのだろうと今でも思います。

上司も「あのころのペア(最終的に考え方は二人で考えていたことが多かったのでペアと表現してくれたのだと思います)が、smilecoachさんで良かったと思うよ。最強タッグだったね。」と仰って下さるので、何か私も恩返し出来ていれば嬉しいなと思いますが、たくさんの事を学ばせてもらった中の一つです。

今朝、リーダーのコーチングの中でまたふとこの体験を思い出したので、ここに記しておきます。

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