従業員には見えない苦悩

先日、ある企業様の従業員の方々とお話しさせていただき、前向きな方々ばかりですし、勉強も凄くされていて、非常に刺激を受けました。
が、そうなってきた時に注意しなければならないのが、「越権」とでもいえばよいでしょうか。

それって皆だけで決めてよいの?
ということの境目です。

経営をするというのは本当に大変な事で、従業員には見えない苦悩も付いて回ります。
日々、判断を繰り返しながらも、全て経営者が判断するのではなく、権限を部下に委譲し、全体を把握し、それでも今と先を両方見て、こうが良いと思う方向に向けて進んでいく。それは、従業員では計り知れないプレッシャーなどもあります。
それらを繰り返しながら、不安にさせず、導いていくというのは本当に凄いことだと、いつも刺激を受けます。

そんな様子を観ているからこそ、すごく前向きになってきている従業員にも知っておいて欲しいこと。陥ってしまう前に気づいてほしいことがあります。

と言いながら、私もそうでしたが。
「○○をしたい」と思い、やろうやろう!と言うのは良いのですが、動く工数を含む経費は会社が負担することになることが多いです。そうした場合に、上司の許可なく決めてしまうのは、違うように思うのです。
かと言ってやらない方が良いというのではなく、「上司を良いものであること、動くと良い事を解ってもらって、協力者になっていただく」という思いで関われないでしょうか。

日々苦悩する経営者だからこそ、見えない判断基準もお持ちだと思うのです。
「いいよ。やってみて」と仰るかもしれません。
仮にその答えが解っている時でさえも、やはりお伺いは立てた方が私は良いと感じるのです。

先日のその話し合いでも、経営者へのお伺いが無視されそうでした。
「ねえ、すごく良いことだと思っているのは今このメンバーだけど、実行するにあたって、巻き込まなければならない人って誰だろう」と尋ねると、社長だけど、社長は自由にやってよいと言ってましたからね。と。

せめて、こういうことをすることになりましたとか、報告しようよ、と提案することになったのですが、社長の答えはNOでした。
全て駄目とは仰っておらず、「ここの部分だけ考え直してもらえないだろうか。」と、長期的なメリットを考えてほしいと、課題を出されたのでした。

まさかNOと言われると思ってなかったメンバーはびっくりしていましたが、「確かに、もう少し考えないとね。」と、その場の勢いで動こうとしていたことに、冷静に先を考える時間をいただいたようでした。

そこで、あるメンバーが「社長は、何も考えてないように見えていたけど、やっぱり社長をするような人は違うんだね。」と。周りも頷きながら、ミーティングルームに戻っていきました。

見えない苦悩を繰り返されている幹部の方々だからこそ当たり前に思う思考が、部下に垣間見えた瞬間だったように感じました。

上司にだけ見えるもの、部下だけに見えるものがあるとしたら、上司の苦悩というのは、一番見えづらいのではないかと感じています。ですが、本当に知れば知るほど、尊敬するばかりです。
ほんの少しでも、苦悩の連続から磨かれた決断力を、単に思いつきのように思わないでほしいなと思いますし、任せる時にも、全てを放り投げたわけではないので、ちゃんと報告や相談はしてほしいなと思いました。

その場でも、私の偏った見方かもしれないことも含め、メンバーに伝え、今後もどんどん新しい提案をしていこう。まずは、先に提案したもののブラッシュアップをしていこうと話をしました。

部下だからできる発想もこれまた凄く、アイデアの生まれる瞬間は素晴らしいんです。お互いの良さも苦悩も認めあいながら、良いものを作り出していきたいものです。

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