不用意に切り捨てちゃ駄目なんだよ

従兄弟の言葉が非常に心にしみました。
「不用意に切り捨てちゃ駄目なんだよ」

お兄ちゃんと呼んでいるので、ここではお兄ちゃんと呼ばせていただきますが、お兄ちゃんは強いなあって思う人の一人です。

高校生の頃、地元ではなかなか入れない進学高校に進学をし、部活動も真剣に取り組み、新体操をしていました。
けれど、鉄棒で落下。打ちどころが悪く、手先の麻痺と下半身不随になりました。
それでも、学校は行き続け、明るく未来を想像し、進学。
その先には、車椅子でも働けて、家族にも負担が少ないようにと、自宅を改造して、自宅で進学塾を始めました。

一廻り歳も違うお兄ちゃんなので、私は小学生だったと思いますが、お兄ちゃんの塾に夏休みに2週間だけ泊まり込みで行きました。
友達も多くて、たまに次の日の塾がお休みだとお酒の匂いが凄くて、本当に社交的だし、他の人と何も変わらなくて凄い人だと思っていました。

塾も、変わっていて、勉強の前に遊びたい子は早めに来て、ビデオを見たり、ゲームをしたり。帰りも同じく終わったら遊んでも良い。但し、授業の間だけは集中していれば前後は何しててもいいよ、というスタイル。
だから、授業中はみんな真剣。一緒に遊んでもくれるし、質問もし易いからか、質問もたくさんで、みんな成績が伸びるようで、いつも満席。
休みの日もみんなが遊びに来ても、部屋を開放しているので、勝手にみんな遊ぶ。
時にはお兄ちゃんの車椅子を押してあげたりしながら・・・。

凄いなあって、思っていたお兄ちゃんもその後、なかなか会えなくなっていたのですが、先日、叔母さんが亡くなった事で再会し、昔話をして変わらない話しやすさを感じていました。

ところが、先日、そのお兄ちゃんが悪性リンパ腫だと聞かされました。
正直、父を思い出すといたたまれない思いが・・・。
直ぐにお兄ちゃんに電話をすると、「うん。今は二人に一人は癌になるって言うし、罹患率も高くなっているから、癌も治る病気になってきたんだよ。僕も抗がん剤や放射線の治療は受けているけど、元気だよ。」って、明るいんです。

それどころか、私の心配までしてくれて・・・。
その時にこんな話しをしてくれたんです。
「僕も、切除するって方法もあった時があったんだよ。でもね、切除すると、やっぱり他の臓器が何かしら補おうとして、負荷がかかっちゃうみたいなんだよね。だから、切除するって言うのを考える前に、抗がん剤や放射線など、切除しなくてもできる方法からやってみるのが、僕は良いと感じているんだよね。きっと、身体だけじゃなくて、なんでもそうなんだと思うけど、簡単に切り捨てちゃ駄目なんじゃないかな。」

きっと考え方の一つなんだろうと思いながらも、両足や両手が不自由であっても、生きてきたお兄ちゃんだから言える事なんだろうと思うと、その先の言葉が見つかりませんでした。

また、「なんでもそうだけど・・」と伝えてくれたことが、周りの人が一人でも欠けたら、今の僕はなかった、と言っていたお兄ちゃんの言葉に通ずるものがあって、凄く心に沁みました。

少しでもなが~く、元気で居て欲しいなと思った週末でした。

コメント

タイトルとURLをコピーしました