ごちゃごちゃ言ってないで!!

ある企業で、ある部署だけ離職率が高い。
そのことが問題になってその部署のリーダーとお話することになりました。

最初から、私がなぜ来たのかを察知してか、「参ってしまいましたよ。部下が次々に辞めちゃって。私も大変になっちゃいました。こんな時間をとっている暇はないんですけどね。」と目も合わせず話して下さいました。

そこで、では30分だけ。という事でお話を始めたのですが、いかに部下がやる気がなかったのかを話して下さるのですが、30分の時間で何を話したいのかです。
部下がやる気になるために、リーダーとして、どんな事をされたのか。
部下の事をどう思っていらっしゃるのか。本当に活かしたいと感じていらっしゃるのか。
などを伺うと、部下育成を諦めていて、評価ばかりで何とかしようと思えるはずがない。との事でした。

延々部下の評価をお話されるので、「時間が限られているので、これからのお話をしたいのですが、よろしいですか。」という事で、これからのお話をすることになったのですが、「人が居なくなったから無理。まず人を増やしてくれ。」→「人が増えたとして、今回と同じようにならないためにリーダーとして出来ることはどんな事ですか」→「私が?優秀な人なら面倒みるけど・・・」

思わず、私の以前の職場の上司に言われた話しをしました。その上で、
「部下を育成するのも上司の役割です。なのにそれを放棄されているように感じられます。それってあなた自身がリーダーとして、これから磨いていかなければならないスキルなのではないでしょうか。私があなたの部下なら、あなたの下では働きたくない。」と伝えました。

少しの沈黙の後、今なにを思っていらっしゃるのか、感じられているのかを伺いました。
「私のせいで部下が辞めているという事なんだなと感じた。正直、悔しい。私は私でやれることはやっているのに。」
すごく悔しそうな表情から、その言葉が、それでも感情を抑えながら伝えてくださった言葉なんだと伝わってきました。

またの沈黙・・・・。

言い過ぎたかなと、関わった私の関わり方や言い方も考えながら居たため、その沈黙がどのくらいの長さだったのかは解りません。でも、きっと長かったのだろうと思います。
またそのリーダーが口を開きました。
「ごちゃごちゃ言ってないで、部下を育てることを考えろ!って事なんだろうなあ。
 正直、まだ悔しいから作った言葉に聞こえるかもしれないが、私もあなたの下は嫌だというのは、キツいなあ。
 でも、僕も僕の部下にはなりたくないなと、今思ったよ。
 辞めた部下が、同じことを思っていたとしたら、良く耐えたよなあ。
 なんか、全く違った考え方になっている僕が居るよ。」
元気なさげに、小さな声で話すので、聴き直したいけれど、きっと独り言のように言いたいのだろうから、敢えて止めずに聞いていました。
「部下も正直半分以下になった。いや三分の一か。
 ここまで僕は、何も気づかずに、ずっと部下のせいだと思ってきた。
 まだ、部下のせいだと思っている気持ちもある。
 でも、それだけじゃないのは、ちょっとだけ解る。
 僕が・・・。
 僕にも、出来たことはあったはずなのに・・・。
 多分・・・。
 今となっては遅い。」

またの沈黙。
私は「では、残っている3分の1の人たちに、これからどう接していかれるのですか。」→「うーん、今まで考えたこともないから、直ぐには浮かばない。ちょっと考えて、試してみるしかない。今ここではすぐに決められない。」と。

最初は目も合わせてくださらなかった事をお話すると、「日頃から相手に興味ないからさ。うん、見ないんだよ、僕は。見ればいいのにな。それだ!それはすぐにできるよ。」と。

リーダーはごちゃごちゃ言ってないで、次の手を考える。
その考え方が、私には残りました。

これからどうなるのか。言い過ぎちゃった私も責任として、勝手にでも見守っていたいなと思いました。
そう、起こっちゃったことにごちゃごちゃ言うよりも、次のために今までの経験をどう活かすのか。次にどうするのか。を考えていこうと思いました。

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