厳しさこそ優しさという事もある

先日、ある企業様で、細かくは言えませんが、ビックリするマナーを知らない新人社員(2年目)と出逢いました。
が、立場的にそれを指摘する場でもなかったため、理由を聞いてみました。理由なくやっているわけじゃないんですよね。

でも、放っておいてよいのか?

社員はひとりひとりが企業の代表である以上、マナーに関しては譲れない部分です。
では、どうするか。

後に解った事ですが、どうやらその社員は、入社時の成績は優秀なのだけれど、支店での評判は非常に悪く、孤立状態。
でも、会うとニコニコしていて、研修での態度も良く、問題なさそうに見える。
けど、休憩時間にそのマナーの優先順位のズレを感じ取れる行動を見ることになりました。

最初は、その行動の瞬間、「えっ?!」という言葉しか出ません。
本人のみならず、周りも何も指摘をしない。
指摘をしないから、余計にこれでよいものと思っているらしい。

たまたまそこに居合わせた別支店の上司が「何しているの?おかしいだろ!周りの人がどう思っているか考えろよ。」と言いましたが、本人にとっては、何のことやら解りませんという表情。周りの人も「何?」という本人の顔を向けられて、苦笑いするものの、誰一人指摘はしない。
改めて、「周りの人達に◯◯するのは、良くない事だよ。これはお客様でなくても、相手を思いやるという事において大切な事なんだよ」と、大変な事をしているんだぞ!という事が伝わるような口調でお伝えになりました。

すると、素直に「はい!」と行動を正されました。

この人に「マナーがなっていない」「優先順位を考えろ」と言っても、そもそもその子の中での優先順位があり、周りを考えての行動のつもりが、ズレていたのです。でも、指摘をする人も居ないから、気付かなかった事なので、その別支店長が仰って下さった事で、やっとその人の中に「これはいけないことなんだ」と認識できるようになったようです。

どうやら、本人に話を聞いてみると、家庭環境の中で、一人で居ることも多く、躾という面で、親には「自由にね」とのびのび育てられたそうです。それが良い悪いではなく、そうした背景もありながら、今まで誰一人として、「個性だから」と思ってなのか、指摘をしてくれる人は居なかったそうです。

「職場で、優先順位を考えろ!と良く怒られるのですが、私なりに考えてやっても怒られるので、意味が解りませんでした。私がどうおかしいのか解らないので、周りにどうしたらいいですかと聞くのですが、自分で考えたら。って言われちゃうんです。考えているのに・・・しか思えなくて。今日は、来てよかったです。」と、話してくれました。

そんな事があった後にこの話しをビックリして、ある所で話したら、「自分が上司でも言えないかも」と8割が言えないと反応してくださいました。
理由を聞くと、「その後の人間関係を考えると、個性として受け止めてしまうかも。」「言えるほど自分もできてないから。」など、答えはそれぞれでしたが、言えないという人が多いことに驚きました。

その中の2割の人の一人がこう話しました。
「だって、これからずっとこのままって言うのは、相手にとっても可哀想だよ。クレームになるだろうし、本人は解らないんだから、どこをどう直せばいいのかも想像すらできない。そのうちに、向かない仕事かもと思って辞めて、他の会社に言っても、同じ反応され続けるわけでしょ。可哀想すぎる!だったら、その場で、一瞬は嫌な思いもするかもしれないけど、社会ではこういうものだよ、って教えて上げることも大切じゃないのかなあ。」と。

反論として、「でも、それは自分の価値観の押し付けじゃないのか。」と出ました。

沈黙で変なムードになってきたので、私としての意見を伝えました。
「自分の価値観かもしれないなって事は自分も確かに考えないといけないけど、企業としてどうかなら、企業としての価値観に則しているかを一緒に考える事もできるので、理念や行動指針も含めた話しができるし、いいんじゃないでしょうか。自分も振り返りながら、相手にも振り返ってもらう良い機会になるのではないだろうか。」と。

やっと場が落ち着いた気がしました。
持論ではあるかもしれませんが、企業それぞれにも、そこだけのルールというものも、そこだけの言語というものもあると感じています。
だったら、そのルールに即しているか。そのルール自体が、お客様にどんな影響を与えているか。などを一緒に考えられたら、企業としての一貫性も持てるのではないだろうか、と考えています。

そんな事を話した後の、ある企業様での幹部会議で、社長が私の持論と似たような理念浸透のお話しをされていました。
何だか、ブログに書いても良いかもと思い、自分の周りで起こった事を元に書かせていただきました。(出来事については、本人の許可を得ることも出来ないですので、文字として残すことは控えさせていただきました。伝わりづらくなってすみません。)

私がこの一連の事を改めて考えた時に、浮かんだのは、
時に、厳しさこそが、相手に対しての本当の優しさになる事もあるのではないか。」という事でした。

あるスポーツコーチが仰っていました。
「本気で学ぶ姿勢、成長する姿勢、自分がやるんだという姿勢を作っていくのは、態度教育からだ」と。
挨拶をする、身の周りを整える、正しい場にあった言葉使いをする、感謝する・・・など、それらが出来てないのに、知識が技術を詰め込んでも、成果が出そうででない。
「態度教育には、接する方も「口うるさい」と言われるであろう事への覚悟も要る。決して自分が嫌われないようにと思うことがないように、相手のために厳しくなることも必要だ。」とお話しされていたのを思い出しました。

厳しさを持つには、自分にも厳しさが必要。だからこその覚悟も要るとも仰っていました。

リーダーがリーダーとして本気で成果を出せる部下を持ちたいなら、根っこは自分の態度に対しての厳しさを持つ事なのかもしれないと、感じました。

うっ、私の部屋。今月はすごく忙しいという事を理由に汚い・・・。
「置かない。すぐに片付ける」をできている部分も増えたけど、「まいっか」と自分に甘えた部分がやはり散在する。
忙しいを理由にしてはいけないので、今やりたい。けど、優先順位が違う。という訳で、予定表に片付けの日を書き込みました。
自分に厳しく。
そして、相手のためにも厳しく言える本当の優しさを、必要な時にいつでも発揮できる準備をしておきたいと思いました。

あなたは、相手の成長のために、厳しくなれる覚悟はありますか。
厳しくなるための障害を一つでも減らしておきませんか。
あなたの態度は、お手本になりますか。

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