リーダーが部下と競わなくなる時

私の大好きな女性経営者とお会いした時に、彼女が話して下さった事が、彼女Aさんの変化を物語っていました。
その一言は、「見える世界が変わったようです」という事でした。

Aさんは、私からみたら、凄く素敵な方で、年上なのですが、好奇心が旺盛で、仕事もバリバリされていて、なのに細やかな気遣いと、可愛らしさがあって、本当に素敵な方なんです。
けれども、どこかで自己卑下してしまっていて、部下と競ってしまっているように感じる事がありました。全く違うのに、Aさんに何度か言葉を変えながら伝えても、「いえいえ、私なんて・・・。」と。
それも、Aさんの素敵な振舞いに繋がるエッセンスなのかもしれないと思うと、改善を無理してする部分でもないと、環境をその彼女に合わせていたのです。

ところが、最近、Aさんの身の回りに大きな変化が起こり始め、地域では有名になってしまったのです。そのことで、彼女の中で「自信」が高まり始めました。

すると、今まで部下と競ってしまっていたために、自分より意見の強い部下が居ても競ってしまっていたように見えたのに、全くその様子が消えたというのです。
「私、見える世界が変わったようです。少し強い位の部下が居た方が、今は良いように思えるようになってきました。どんな人が一緒に居ても、自分とは違うんだ、と思えるような気がします。」と仰るのです。

環境の変化が与える影響や、やはり周りから認められるという事は、こんなに大きな変化を生むんだなと思いました。

Aさんのその話しを伺いながら、確かに提供力のある人などは、自分に自信を持っていらっしゃる方が多いなと感じました。
要は、「自信=自分を信じる」だとしたら、自分だけが持つ特性を、自分自身が知り、認められた時に、「私は私、あなたはあなた」と、競う事を止められるのだなと私は考えました。

リーダーが部下と競ってしまうと、必要な情報がうまく共有されなかったり、自分が優位であることを主張しようとしたり、マネジメントどころではなくなってしまう気がします。
けれども、そこから自分の個性を発揮し、相手にも違う個性があるという事を把握できたなら、「見える世界が変わる」のではないでしょうか。

私自身、「なんで(私にもできるのに)こんなこともできないの?」「(私がこんなに頑張っているのに)あの人はサボってばかりでダメね」なんて、自分と競わせてしまっていた部下を初めて持った頃がありました。
そして、そのことに気づかず、競っていた時期が数年ありました。
でも、ある時、当時の社長に「小林さんにしか出来ないから、やってみろ!」と言われて任された仕事。やり遂げた時に、「これは他の奴にはできないな」と褒めていただきました。
その瞬間、他の人だからできることって何があるんだろう?と本気で考えられるようになりました。

今考えても、私の心の小ささが見えちゃいます。

でも、部下にしかできない仕方をしてもらうと、私よりも素敵なものを作ってくれるのです。
少し前なら、「悔しい」と、また競いはじめていたでしょうが、「これはこの人にしかできないことなんだろうな」と思えるようになったら、心から「凄いね」と言えるようになりました。

そんな自分を思い出しながら、Aさんの話を振り返ってみると、やはり、リーダーが部下と競う事はやめたいものだなと思います。
そのためにも、まず自分だからできることを愚直にやり続ける事で、自分を認めてあげる事からなんだろうと私は思います。

最初から、個性はそれぞれ違うと思える方には必要ない事なのかもしれませんが、そうでない方には、自分を認めることから、改めて始めてみませんか。
そして、部下と競う、のではなく、チームをマネジメントすることに自分のエネルギーを集中させてみませんか。

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