リーダーは常にスペシャリストではない

とある企業のリーダー達が集まった時の事でした。「全くウチのチームにはロクな人財が居ない」と数人が、会議が始まる前から愚痴を言っていました。
会議が始まっても、愚痴が多く、一向に建設的な話し合いが進む様子がありません。
時にはたまっている感情を吐き出す時間があっても良いのかと思い、しばらく聴いていました。が、さすがに30分以上も経過していたので、「いつまでこの話しを続けましょうか。」と言うと、我に返ったように、静かになりました。そこから会議が始まったのですが・・・・。

その会議のゴールや目的が、全く見えてこない。私が仰せつかったのは、「会議をオブザーブしていて、気になったら質問をして欲しい」との事でした。
そこで、質問をしました。
「すみません。この会議のゴールはどこですか?」と。お答えがあり、「それは何のために必要なのですか。」と聞くと、ここでもお声がありました。
結局、明確なのに、その内容が交わされているように聴こえてこなかったのです。
更に質問をしました。
「ゴールに向けて、どのくらい話しは進みましたか。」
「終了時間まで、あと40分ですが、会議のゴールは達成できそうですか。」

急に、話しの内容が変わりました。
「部下の文句」ばかりだった所から、「どうしたら成果を出せるようになるのか。」も含め、話しが進むようになりました。

すると、みるみるうちにゴールに向けて、会議の内容が加速したのです。前半の愚痴があったから、割りきって進めるという事もあるのかもしれません。
が、とにもかくにも、時間内に会議のゴールが達成しました。

すると、数人がおっしゃいました。
「僕達は、自分で言うのもなんだけど、成績が良かったから役職をもらったから、一◯◯職としては優秀なんだろうが、リーダーとしては、まだまだなのかもな。」
「そうだな。部下にゴールを目指せとか言いながら、俺達が反れた話しをしていて、smilecoachさんが居なかったら、愚痴で終わっていたかもな。」
「あははは。そうだよなあ。正直、あと40分でゴールにたどり着くかと言われた後の会議内容は、時間が経つにつれて、ワクワクしたんだよな。小難しい話しのはずなのに、変な言い方だけど、楽しかったんだよなあ。」
とそれぞれが話していると、進行役をしていた人もつぶやかれました。
「正直、俺がちゃんと進行できてなかったんだろうなあ。さっきの☓☓さんの言うように、俺らは一社員としては優秀と認められたけど、リーダーとしては半人前って事なんだろうなあ。痛感しちまったよ。」と。

私は、オブザーブでありながら、問いを投げてしまっているので、その影響力の大きさにもビックリしながら、他は静かにしておりました。
が、「一社員としては優秀だけど、リーダーとしては半人前」という言葉が、すごく印象に残りました。

私をオブザーブとして呼んで下さった方がおっしゃいました。
「今日はありがとうございました。おかげで、自分達の未熟さに気づくきっかけにもなりましたし、部下の文句言っている暇があれば、自分達がリーダーとして一人前にならなくちゃと思えました。ありがとうございます。」と。

私もその時には、印象に残った言葉の話しをしました所、呼んで下さった方が「私も、このリーダーたち何とかならないのかなあ。文句ばかり言いやがって。と正直思っていたのです。だから、smilecoachさんから見るとどうなのかを聞いてみたかったんです。でも、その前にここに居るリーダーと私も変わらなかったんだと気づきました。リーダーを育てるのも私の役割なのかもしれませんね。」と仰ったのです。

なんだか、優秀な人ほど陥る罠のようなものがあるんだろうな。
そんな風に感じざるを得ませんでした。

自分が一人前なのは、前の役割においてであって、今は、また新たな役割の中で、半人前。
そのことを、リーダーは肝に銘じておく必要があるのだろうなと感じた出来事となりました。

私自身も、勉強の機会を頂いた感覚がありました。お招きいただいた事に感謝いたします。ありがとうございました。

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