新入社員は新人ではない

新入社員研修まっただ中ですが、今日だけはちょっと中休み。とは言え、今後の研修準備などあるのですが、新入社員研修を通して感じていることです。

それは、「新入社員は新人ではない」ということです。

就職活動が大変な世の中で、既に戦ってきているわけですが、手当たり次第受けてみたという事ではないです。何か、意図を持って就活した企業に採用されたわけです。
その理由を伺うと、本当は小さい時の「こんなだったらいいのにな」「こういう人達に何かがしたい」という忘れていた思いが、就活の時期に思い起こされた方もあり、理由を伺うだけで涙が出てしまうこともありました。

そういう事があると、既に幼少の頃からの思いを忘れていた時期があったとしても、その後に勉強やいろんな活動を通し得たものを、活かす場に、採用された企業とのご縁が結びつき、こうしてここにいるんだな。
これから活動が始まるのではなく、既に一歩も二歩も、近づく活動をして、今に至っているんだなと気づかされ、非常に頼もしい存在に感じるのでした。

社員としては「新」であっても、既に何かを実現するために動いている人としては「新」ではないのです。

社員として不足しているものや、ルール、サービスの質の担保のための学びは必要ですが、一人ひとりが素晴らしい資質や思いを持った人達なんだと感じ取る事ができます。

しかし、そうした人達が、せっかく進み始めた自分の切り開いた道を、1年経たずに辞めてしまう事があるのは何故なのでしょうか。

行き着いた講師同士・採用担当者との話の中では、「がむしゃら」「精一杯」という事をした体験が少ない事でした。
いろんな体験をする中で、ネットで調べれば他の人の体験が見られる、すぐに成功するか失敗するかが見える。だから「まずやってみよう」ではなく「まず調べよう」が癖づいているから、失敗体験も少ない。

そんな中で、企業に入り、まず行動していくことが急に求められ、失敗をし、改善をしようとしても、繰り返される失敗に落ち込み、「向かない」と辞めてしまう。
これが事実かどうかは検証できるわけではないので解りませんが、一つの考え方としてはあるだろうと思いました。

とある新入社員研修で精一杯取り組まないと先に進めない研修があります。
その中で進めた瞬間に涙する方々が沢山いらっしゃいます。
感想を聞いてみると、「ここまで真剣に取り組んだのは生まれて初めてです。達成感というのはこういう事なんですね。」「ダメ出しされて凹みました。普段ならやめているでしょうけれど、やめる事も許されない中でやり続けられて良かったです。気持ちいいです。」「仲間が居たから乗り越えられました。仲間が居る事のありがたさを本気で感じました。」などなど。

進めなくて悔し涙を流した方々も、「何とか手加減して切り抜けようと思っても相手には伝わってしまうんだと知りました。本気になって失敗したら立ち直れないんじゃないかと思うと怖い」という話もされていらっしゃいました。

私達親がどのように子に接してきたかも感じます。
部下の育成同様、新入社員の皆さんも、体験の中で、「精一杯やらなくても大丈夫」「失敗するくらいならやらなくても何とかなる」という事を学んでいらしたんですよね。
私達、親世代ができればそうしたかったことを子供にさせていたのかなとも思い、反省もしましたが、反面、本当に社会という視点を持った方々が多いのには驚きます。
これは、多くの方々が震災の体験が大きかったようです。
世の中のために、誰かのためになにができるのか。凄い体験から得た、尊い思いだなと感じました。

新入社員の皆さんは本当に、多くのことを私にも私の周りの人にも改めて気づかせてくださっています。
「新人」ではないんですよね。

お互いに尊重するところは尊重しながら、彼ら彼女らの持っている思いも大切に、多くの体験、失敗も含めしていっていただきたいものです。
私が言うのは「この場でいっぱい失敗して下さい」ということです。
体験を増やす事で、更に思いを実現できる人達に成長していってくださったら、こんなに嬉しい事はありません。

本気でぶつかり合う事で、社員としての「新」を脱皮できたら、それは私にとっても尊敬できる企業人となられます。
関わる私達が、まず本気で接すること。
これが大切な事なんだろうと今は痛感しています。

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