リーダーに必要な事って何だろうか

一昨日まで、色んな経営者の方々や幹部の方々にお会いする機会、お話しする機会が続いていました。その中で、経営に携わるリーダーが大切にすることって何だろう?と考えさせられました。

正直、一つではないとは思います。
けれども、今日、何冊も出版をされていらっしゃる経営者の方のブログを拝見していたら、「アクセルはいつでも踏めるけれど、高性能のブレーキを持ち、踏んでくれる人がいるかどうか」と書いてありました。
それが、他人の事かもしれませんし、自分を客観的に見る事なのかもしれませんし、本や講演などで周りから影響を受けることかもしれません。
が、少なからず「自分が正しい」と思い込んで進む事ではないのかなと思いました。

これは、「信念を持ち、ブレない」という事とは違います。
信念などは、価値観や大切にする「思い」であり、ブレーキを踏んだりするのは「言動」に対してです。

先日、ある中小企業の社長さんが、「部下から自発的に意見がでるようにして、会社全体が新しいことにトライしていける会社にしていきたい」と語っていらっしゃって、素晴らしい会社なので見せて欲しいとお願いをしました。

早速、短時間であればいいですよということで、仕事の合間におじゃまをさせて頂きました。会社の中は整理整頓され、明るく挨拶をする社員達が居て、さすがだなあと感じさせていただきました。

そんな時でした。
一人の社員が「社長、ここの◯◯でミスが起こりやすい気がするので、☓☓という事をしてみても良いでしょうか」と。
すると、社長が、「おい!それは先月△△ってやってみろと言った所だろうが。やってみたのか?」(以下、少し会話です)
社員「それは・・・・。やってみたのですが、1日でやめました。」
社長「そんな報告は受けてないぞ。なんで△△をやめたんだ。」
社員「効率が悪くなるだけでなく、ミスが発見しづらいと感じたものですから・・・。」
社長「一日しかやってないだろ!もっと続けてみろよ。☓☓なんかその後だろ。」
社員「・・・・。すみません。」
社員の方は、肩をおとすようにして職場に戻って行かれました。

思わず、「社長。社員の提案はどのように扱われるんですか。」と伺ったところ、☓☓じゃ失敗するだけだ、そんなのやらないよ。と仰ったので、「社長の目指す自主性ってなんですか。」とお尋ねしたところ、矛盾を思わず感じてしまいました。
それでも、社員が何度も提案されているのであればそれでも言ってもらえる社長って言うのも凄いなと思って、先ほどの社員は何度目の提案かを伺ってみると、初めてだということでした・・・。

他の社員からの改善提案はあるのかと伺うと、「俺に答えを求めるばかりで、提案なんてひとっつも来ない。うちの社員は考えがなさすぎる。」と仰ったのでした。部下経験の長い私は、ついつい黙っていられずに伝えてしまいました。

「社長、お言葉ですが、自主性を重んじられる考え方が素敵だなと思って、今日御社を拝見に参りました。が、伺ってみると、せっかく出た提案も否定されてしまわれて、私が部下だったら、もう数回は挑戦するでしょうけれど、それでも否定されるなら、考える事自体を止めたくなるでしょうね。自主性を重んじられるというならば、自主的に動いたり発言してくれた社員をもう少し肯定的に関わってあげる事はできないでしょうか。」

良くもまあ、年上の経営者に言えたものだと、後から私自身を反省したのですが、その経営者は「たまたまあったことを全てとは思わないでくれ。でも、たまたまあった現場がそうだと見えたなら、普段からそうかもしれないよな。・・・ちょっと自分を見なおしてみるよ。」と少し怒りを抑えたようにおっしゃいました。

なぜ、言っちゃったんだろう。頼まれてもいないのに・・・。
自分の中にも、仰っていた思いが形となっている所が見られるはず!と勝手に思い込んでいたのに違ったから、ショックだったのでしょう。そのショックを言葉に出してしまった自分の浅はかさでした。

しかし、昨夜でした。
メールが届いており、今朝拝読しました。
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先日は、弊社にお越し下さり、会社の環境や社員を褒めて下さってありがとうございました。
その後私には、厳しいご意見を頂き、少々腹も立ちましたが、その後冷静に振り返った所、私の思い通りに意見を出してくる者しか肯定してなかった事に気付きました。仰る通りだったのかもしれません。
たまたま先日の事でしたので、その時に部下が提案していた改善要求を受け容れてみることにしました。すると、その部下が満面の笑みで、私にありがとうございますと言ったんです。私も思わず、こちらこそありがとうと言いました。
私の求めていた事が少しですが形として見えたようで晴れやかな気分になりました。
正直、あの瞬間は怒りを抑える事に必死でしたが、社員との心地良い体験を出来たのは、あの時に恐れもせず、私に伝えてくれたあなたのお陰です。
またいつか、お時間のある時にお越し下さい。
その時は、部下の自慢ができるようになっていると思います。
また必ずお越しください。
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拝読して、胸が熱くなりました。
私の暴言であろうことを、聞き逃さずに振り返られ、自分の言動を変えようとされたなんて。
こんな素晴らしい方に、私は一瞬しかみていないのに、何を言ってしまったのかと。

私も含め、一人よがりになることは怖い事だなと思いました。
が、人の意見を受け止めてみることで、一人よがりから脱することのできる柔軟性や受容力もリーダーには大切なんだなと感じさせていただきました。

また機会があったら、その会社を訪れてみたいと思います。
その時には、私も、もう少し受容力のある自分でいられたらなと思います。

コメント

  1. 山本政也 より:

    小林さんの想いが強かったからこそ、伝わったのですね。

    役職が上になればなるほどフィードバックを受ける機会が減ってきますし、小林さんのフィードバックは貴重だったのでしょうね。

    満面の笑みでありがとうございます、と言った部下の顔と社長の顔を想像し、私も胸が熱くなりました。

  2. coachsmile より:

    山本政也さん
    ありがとうございます。
    社長さんに物を申した私も、その社長さんを受け止めてなかったんだなと反省していたのに、温かい気持ちにさせていただけるメールを頂き、一段と自分の「こうあるべき」いうものが強くなっていたことも気付かされました。
    頂いたメールは、感謝を伝えて下さったものでしたが、私にとっては、私に対してのフィードバックでもあったように思いました。
    きっと、片方だけが学ぶって事はないのでしょうね。お互いに学び合う機会を頂いた貴重な体験だったと今も思います。
    山本さん、ありがとうございます。

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