リーダーが自分のリーダーシップを知るきっかけ

先日の事です。とあるリーダーが「僕は部下に恵まれていて、みんな僕の気持ちに賛同してくれるんです」とおっしゃっていました。けれども、周囲にいた部下の表情が一瞬曇ったのです。
あれ?

リーダーのAさんは、「僕の気持ちは部下と一致しているから、仕事がし易いんです」と言葉を続けていました。すると、近くに居た5名ほどの部下が一斉に目線を下に向けました。一人に関しては、表情も少し曇りました。
思わず、Aさんに「本当にそうなんでしょうか。気持ちが一致しているとどこで感じていらっしゃるのでしょうか。」と伺ってみました。
答えは「僕が声をかけると、文句ひとつ言わないどころか、すぐに『はい』と元気よく返事をするんだよ。」という事でした。これって、部下の反応からしても、上司の命令をしっかり聞いているだけに感じるんだけれど・・・。

そこで、そっと上司がお手洗いに行かれている間に聞いてみました。
私  「誰もが本当に、気持ちがひとつになっているんですか?」
部下B「いえいえ。そんな事全然ないですよ。怖いからですよ。」
私  「怖い?」
部下B「はい、もしも反対すると、その後に結局説得されるのが怖いんですよ。」
私  「そうなんだあ。でも、ずっとこのままでいいの?」
部下B「仕方ないですよ。我慢できなくなったら辞めるだけです。」
私  「え?そんな事で辞めれちゃうの?」
部下B「はい、諦めていますから」
私  「Aさんはその事に気づかなかったら、ずっとあなたの後輩達にも続けちゃうよね。」
部下B「そうですけれど、どうにもできません」
私  「そっかあ。辛いね」
と、自分たちで変えようとしない事への歯がゆさはありましたが、そういう体質を創り上げたのが、Aさんだったとしたら、Aさんがその事実を知る機会だけは作ってあげたいと思いました。

そこで、私の言葉として「何だか部下と目を合わせて納得できているか確認してない気がするんだけれど。部下がもしも、Aさんが怖くて返事しているだけだったら、どうする?」と聞いてみました。そんな事ないからと笑い飛ばしながら、その後に「でも、確かに部下とは目を合わせてないな。みんな下をむいて返事するんだよ。もしかしたら、嫌がられているのかな」

その後、Aさんは考えた様子でしたが、昨日連絡をいただきました。
「どうやら、部下は嫌がっている様子です。はっきりは言わないけれど、本気かどうか聞くと返事が曖昧になるんだ。僕の独りよがりだったとしたら、ショックだけれど、ちゃんと部下が「イヤ」って言えるようにしておかないと、いつか辞められちまう。コーチングよろしく。」

人から、あるいは部下たちから直接の感情や反応を知る機会は、伝えてもらうことしかない。
自分では気づかないこともありますからね。だからこそ、言ってくれる人を持ったり、言ってくれる環境を作ることって大切なんだなと思いましたし、辞められる前に気づけて、よかったなと思いました。

その様子を見て、部下も自分たちで変えていこうとする力が再燃することを楽しみに見守りたいと思います。

あなたは、無意識の自分に対し、何かを伝えてくれる人は居ますか。

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