上司の口癖から学んだこと

私は前の職場の上司には本当に恵まれていたと思います。最初からそう感じていたかというと違うのでしょうが、今となってはかけがえのない教えをくれた二人の上司です。今までにも「南禅寺の泣き婆さん」の話なども含め、上司から学んだこともお話してきましたが、今日から3日間は口癖のおかげで学んだことをお話します。

今日1日目は、既にTwitterでは掲載しましたが、上司の「使わない知識なら学ぶ必要はない」という言葉です。
それと同時に「知恵のあるある奴は頭を使え。知恵のない奴は体を使え。」というものです。

この二つの言葉は、本当に何度となく言われた言葉でした。
私が、自分だけでは仕事が間に合わなくなり、現場のリーダーを育てようと思い始めた頃のことでした。私は自分が成長するために、研修に行って、研修で得たことをすぐに使うのが得意だったように思います。だから、部下や同僚もそうだと思って、上司に「●●さんをこの研修に参加させたいと思いますがどうでしょうか」とお伺いを立てました。
すると、部長(直属の上司)が、「小林さんは研修の活かし方を知っているけれど、この人はそんなつもりで行かないだろうから、一つでも製品を作ってもらったほうがいいと思うよ。でも一応、社長には聞いてみるね」と仰いました。
その後、社長から直接「俺が読んでみろといった本に関しても、いつまで経っても読めない奴に、研修に行かせて何が変わるんだ。時間の無駄だ。活かすつもりがない知識なら、最初から要らない。」と即却下されました。

私は「二人とも同じ考え方なんだな、だったら私が違っているのかもしれない。でも、これから私だけではやっていけない。私が教えるにも限度があるし、私の知識が偏っている可能性もあるし・・・。●●さんには、成長して欲しいものなあ。私よりプロになってほしい。だったら、必要な知識だから学ぼうって思ってもらえばいいのかあ。」と考えました。

つまり、部長と社長は、その人が自ら学ぶ気になっているか、或いは自ら学ぶものが明確であるか。という点がはっきりしてないなら、その人を私が勉強させようと思っても、ただの使えない知識を得るだけで終わるだけになるだろうと言うのです。確かに!
だとしたら、その人が自らやる気になったり、学んで欲しいことと学びたいことが明確になれば、それは参加する意義を持つことになるし、その後活かすことができるかもしれないと考えたのです。

●●さん(以降Aさんと呼ぶ)と、Aさんの職場が現状抱えている業務の問題点がかなりありました。その問題点に対して、私が判断させてもらっていたのですが、そうではなくAさんに判断し、改善していってほしいという旨を伝え、研修項目を見ながら、ここで××を学べたら、この仕事の改善点が見えるかも・・・などと目標を少しでもいいので明確にしてみました。

その上で、上司に再度お願いをしてみました。
すると、あっさり「行かせてみよう」という事で決裁がおりました。

ついつい、Aさんを変えようとか、Aさんにこうして欲しいから勉強させれば変わるだろうと考えがちですが、その前の動機付けも大切なんだと知りました。きっと上司があっさり「そうだな」と決裁を通してくれていたら、このことに気づかず、人に知識を与えれば変化すると思っていたのかもしれません。
実際には、仮にその時、Aさんがその気でなかったとしても、いつかはその必要性に気づいて、資料などを見直す時期が来るのだろうと今は思いますが、当時の会社は本当に私を始め、いっぱいいっぱいの状態で動いていたので、研修に参加したらすぐに結果が出る状態にして欲しかったのだろうと受け留めています。

上司の口癖のおかげで、研修で知識を得ることが目的ではないことも改めて知りました。
しかも、自分が悩んだ時、当時まではまずは研修に参加させてもらおうと思っていたのですが、悩んでも答えが出ない時は、体を使おう!つまり、何かしら動いてみれば見えてくるものがあると確信できるようになりました。

ちょっとした上司の口癖が、私の思い込みを外すだけでなく、人の育成の原点を教えてもらえた気がしました。

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