気付くことからスタート

先日の事です。研修をしている時に「人を認めることって大切なんだな」って言っていた方がいきなり、その場で模擬会議をしたところ、批判ばかりになってしまい、今までと明らかに変化している事を認めてあげられない。あれ?と、変化したところを敢えて伝えてみても「でもさ~」と批判を続ける。分かったつもりでも、自分が何をしてしまっているのか気付いていない。そんな事がありました。

気づく事から始まるんですね。
ちなみにその場に居たほかの人は、今まではこうだったんだなという事に気付き、明らかに意識をして「変わろう」としていました。気付かない限り周りが「変えよう」と思うだけで、本人は一段とかたくなになったり、変えられているという強制感を持ったりします。

とは言え、強制が悪いと断言するつもりもありません。その事によって気付くこともありますし、ルールであれば守るべきものでしょうから、強制も時により良いものかもしれません。しかし、今回の場合は、人に「こんな事をしたくないけれど」という事が伝わってしまっては、本人が変化を感じることができないと思ったのです。

研修で変化のおきた人達の言葉をいっぱい聞かせてあげました。変化を私からも伝えてあげました。そのことで、何か先ほどの方に伝わればいいなと思ったのですが、研修中の態度は変わることがありませんでした。

しかし、研修が終わったときのことでした。帰ろうとする私に近づいてきて彼(以下、Aさんと呼びます)が言いました。
「僕が話すとみんな黙って下を向いていましたが、どういう事なんでしょうか?」と。
近くの席で片付けをしていた人達は、声が聞こえたのか、その後慌てて外に出て行きました。二人になったので、座って少し話そうといって話すことにしました。

A「どういう事なんでしょうか」
私「なぜそれが気になったんだろう?」
A「明らかに他の人が発言した時とは違いました。僕は会社でもいっつも一人なんです。この研修でも初めてあって二回回目のはずなのに、もう孤立しているように感じて、すごく気分が悪い。小林さんだけが笑顔だけど、他の人は僕の話す時には下を見る。会社の中の僕と変わらない。僕の何が悪いんですか」
私「悪い?悪いかどうかは別として、みんながAさんに言ってくれたことや私がAさんに伝えたことはどんな事だったか覚えていますか」
A「・・・。何でしたっけ?良く覚えていません。けど、いいところは?って良く聴かれました。」
私「他は?」
A「いいえ、後は全く覚えていません。」
私「そうですか。今、私にこういう事を聴かれてどんな気分ですか?」
A「早く、答えを聞かせてくれればいいのにって思っています。あまりいい気分じゃありません。」
私「ですよね。顔に書いてありますよ。いやってことが伝わってきます。」
A「あっ、それは研修のグループメンバーにも言われました。」
私「もし、そういうメンバーが居たらどんな気分ですか」
A「むかつきますね。あっ、そうですね。むかつきます。他の人も僕にむかついた顔を見せればわかったのに」
私「そう思うんですね。Aさんは他の人のせいだといっていますね」
A「そういうつもりはないですけど。でも、僕は皆が変わればいいといつも思っていますね。これって僕が変わるつもりがないってことと同じだ。あれ?僕に絶望しているってこと?違うか、相手にしないようにしてたってことか。みんなは自分が変わって周りが変化したといっていたけれど、正直研修用に用意した答えだろと思っていたけれど、僕は、みんながきっと勇気をもって伝えてくれた事を何も聴いてなかったし、自分が変わろうとはしてなかったですね。今さらですけど分かりました。
 なんだ、もっと早く言ってくださいよ。あっ、また人のせいにしていますね。
 うわあ、相等意識しないと無理そうです。
 でも、やっと僕が孤立する意味がわかりました。もう成果は報告できないけれど、僕もやってみます。」
私「報告してくださいよ。研修は終わったけれど、私は待っていますよ。だって、自分に向けられた声は聴こえてなかったのかもしれないけれど、ちゃんとみんながやってきたことや、その成果はしっかり聴けているじゃないですか。大丈夫。その範囲をちょっと広げてみるだけですよ。」
A「ああ、小林さんにそういわれるとできそうな気がします。こういうことか。褒めるって言うよりも、いいとこ伝えてあげるだけでも、自信になるというか、出来そうな気になりますね。僕は今まで逆しかやったことがないです。ちょっとやることが増えるけれど、いいとこ探しもしてみますよ」
私「成果がでなくてもいいから、1ヵ月後に連絡ちょうだい。やってるよって連絡。」
A「小林さんさえ良ければ、1ヶ月だと忘れそうだから、毎週末にやってるよって連絡しますよ。いいですか」
私「どうぞ。楽しみに待ってますよ。私じゃなくても、グループメンバーに伝えてあげるともっと喜ぶかもよ」
A「そうですね。みんなには今日連絡して、宣言します。今まで仲良くできなかったから、勇気は居るけれど僕に伝えてくれた最高のメンバーですから。これから楽しみです。頑張ります」
私「応援しているよ。楽しみだね。」
A「ありがとうございます。」

Aさんは笑顔で何度もお辞儀をして去っていきました。

そして、昨日連絡がありました。
 「報告です。研修メンバーと来週飲み会することになりました。僕の変化を見たいそうです。どきどきしますが、今の僕なら大丈夫だと思います。仲間ができたことで、会社でも部下に優しくなれるようになりました。僕に本当に必要だったのは、友達だったのかもしれません。だから、来週はメンバーにお礼を言おうと思っています。
 そして、部下がびっくりです。急に変わる自信がなかったので、小林さんに研修中に言われたように宣言しました。そうしたら、変わろうとする僕を疑いの目で見ている人も居ましたが、これで2週間以上かな続けてみて、部下が信じてくれるようになりました。僕が意識できてないと、怖そうな顔してますよって言ってくれる部下まで出てきました。相談をしにくる部下まで居ます。食事も誘われるようになりました。今までより出費は増えるし、話す時間は長くなったけれど、その分部下に仕事を任せようと思えるようになりました。まだまだですが、僕が変わることでこんなに周りまで変わるんだという事が分かりました。
 あの研修との出会いや、あの小林さんと話した時間がなかったら、僕はずっと一人だったんだと思います。きっとそれで仕方ないと言い聞かせていたに違いないでしょう。
 研修に参加してよかったです。これからも頑張りますので、たまに報告させてください。」

嬉しい報告でした。
Aさんが頑張った結果です。気付いたからこそ得た結果です。
きっと私もまだまだ気付いてないことがあるんでしょう。Aさんだけでなく、私も自分の知らないことを知ること、気づく事から変化していくのでしょうね。

あなたは、まだ知らぬ自分に気付くきっかけをどう作りますか。

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