危機感はどう伝えるのか

リーダー達が「危機感がない」などと話されている場面に良く遭遇します。
でも、危機感がないように見えるだけなのか、本当に危機感がないのか。
そもそも、危機感が伝わるとどうなるのだろうか。

どうして危機感を伝えたいのでしょうか。
「このままじゃマズイぞ!」と頑張って欲しい。安住してほしくない。などなどでしょうか。

それは危機感として伝えないといけないものなのでしょうか。

そもそも、という部分を考えたら、その部分も疑わしい事もあるでしょうが、まずは、危機感を伝えるとしたら?
どうすれば、危機感が伝わり頑張ってくれるのだろうか・・・。

企業様にお伺いする機会が増え、その度に聞かされる言葉でした。
が、伝わっている企業と、そうでない企業には差があるように思いました。
もちろん、危機感以外で奮起してもらうという選択肢を選んでいらっしゃる企業様もいらっしゃいますが、やっぱり危機感を伝えたい、危機感を共有したいと考えていらっしゃる経営者やリーダーが、やっていらっしゃるのは二つでした。

一つ目は
「情報開示」です。

危機感が伝わるポイントとなる情報だけを開示されているのです。
ですから、シンプルで、見えやすい。

二つ目は、
「経営者の振る舞い」です。

危機感を伝えながら、自分の車を買い換え、堂々と会社に乗ってくる。
今は大変な時期なんだと言いながら、家族旅行に出かけ、お土産を渡す。
きっとタイミングの問題もあると思います。
でも、働いている人も感情があります。

危機だ!と言いながら、え~?と思うのが、心情ではないでしょうか。
そういう会社に本気で、「何とかしよう」と思えるでしょうか。

情報の開示と、開示した前後の経営者の振る舞いが、「社長も頑張っていらっしゃるから、私達も本気になろう」と思えるかどうか。
日頃のリーダーとの関わりがどうであるかも絡んでくるでしょうが、大きくは、危機感が伝わるには、二つの事が揃ってないと、部下は本気で「危機」として感じとれないと思います。

昔、こんな危機を本気になって乗り越えた事がありました。
会社存続の危機です。
仕事がめっきり減ってしまい、売上は上がらないのに、社員へのお給料や固定経費、借金返済は毎月あるので、売上を上げなければならない。
でも、一向に上がる気配がない。

そんな大変な時期に、経営者は人を雇用しました。
会社の改善活動(経費節減のための改善活動)のために、定年を過ぎた方を雇いました。
なんでこんな時に・・・。

そう思っていましたが、改善活動も始まり、経費の節減もしました。が、微々たるものです。
でも、本当のその方のお仕事は、人員削減のための雇用だったのです。

そんな事をしらない私達は、危機感なく過ごしていました。
でも、ある時、人員削減対象者がビックアップされ、その方々に説明が行われました。その後、その方々がどうするかを選択している間に、全社集会で、会社の状況が共有され、今動いている会社存続に向けての動きについて、こうやって乗り越えていきたいという話しがありました。

静まり返る空間・・・。

その後、社長が更に伝えました。
「私の給与はカットする。人員を削減する以上、私も現場に入る。だから、みんなでこの最大の危機を乗り越えよう。
 人員を削減にしても、次の職場が見つかる人たちだ。安心してください。
 だから、ここに居るみんなと乗り越えていきたいんだ。本当に何ともならなくなる前に手を打つしかなかった。
 みんなには苦労をかけるけれど、乗り越える見込みがあるという状況だ。だから、一丸となって頑張ろう」と。

集会が終わるや否や、社長は現場に入りました。誰よりも足早に、誰よりも声を出して、動き回りました。
私も、それまで現場の窓口だった方がいらっしゃらなくなったので、全ての窓口を任される事になりましたが、「社長があれだけやっていらっしゃるんだから、やらなくちゃ」と思わせられました。

あの時を思い浮かべても、先程お伝えした二つの事があったように思います。
部下の感情が動くのは、リーダーの考えが伝わる材料があることと、伝わる行動が有ることなのではないでしょうか。

「危機感が伝わらないんだよ~」と思っていらっしゃる方。
何か足りないものはないですか。

或いは、危機感を伝えること以外の方法で鼓舞するとしたら、どう鼓舞しますか。

リーダーの関わり方も少し見直してみませんか。

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