「待つ」こともリーダーの仕事なのかも

先日の事です。凄く気になっている新人Aさんが居ました。
私に任されている期間は決まっています。その間にこのAさんの良さを出せるようにするためにはどうしたら良いのかを悩んでいました。
でも、結果、AさんやAさんの周りの人達から教えられた事がありました。

Aさんは、とにかく人が苦手そうです。目標も「人と協力することを意識できるようになること」でした。「協力できるようになる」ではなく、「意識できるようになる」というのが引っかかっていました。

けれども、私に任されているのは一人ではなく、10名以上です。
そのため、チームになっています。チームになっている人の関わりの中で、その目標を口にできたことだけでも、素直なのではないかと感じられる面がありました。

とは言え、チーム全体を静かにさせてしまうほど、協力する意識が見られない。積極的に声をかけてみるが、返事は一言で終了。仲間からの声掛けにも同じ反応。しかも、ずっと下を向いてしまうのです。

大丈夫かな?と思って、チームを変えてみる事も考えたけれども、周りが一生懸命に打ち解けようとしているのに、今変えていいのだろうか?という葛藤があり、そのままのチームで作業をすることにして取り組んでいただきました。

すると、数日後のある瞬間に、急に同じチームメンバーから「もっと笑って欲しい」と要求を受けたのです。私と同じ思いがチームメンバーから出たのです。だからといって直ぐに笑えるわけではないけれども、それまで一生懸命関わってくれている事が解っていたAさんは、徐々に笑顔の瞬間が増えていったのです。

当然、周りも嬉しくて、話しかける量も増え、「笑ってくれると話しやすいね」と言われ、「私はどうしても好き嫌いで判断してしまいがちで、しかも好きになれる人が少なかった。でも、嫌いにさせていたのは私かもしれないですね。」と返事をしていたのです。

思わず、涙が出そうになりました。
私が、リーダーとして上からモノ申すよりも、メンバーとの関わりのなかでこんなにもAさんを変えてくれたんだ!と嬉しくなりました。
その瞬間、リーダーが全てを請け負おうとするよりも、仲間意識が高い時には、「待つ」、つまり「見守る」事も1つなんだなあと思いました。

Aさんの変化を見て、すぐにその変化を見ていたよというメッセージと、関わってくれたみんなにも「Aさんの変化はみんなのおかげかな?良い仲間を持ったね。」とAさんに向けたコメントとして、周りにも感謝を伝えました。
「見守る」になるのは、この見ていた事を伝える事なんだろうと私は思いました。

もし、チームを変えてしまっていたら、Aさんはこんな変化を見せてくれていただろうか。答えは多分違っていたでしょう。
多分、変わったチームでも同じように関わってくれる仲間はいただろうけれど、チームメンバーがコミュニケーションをとることで、関係性を変えられるという体験はできないままになってしまったでしょう。

「仲間が変えてくれるかも・・・」という直感だけで、「見守る」ことを決めたけれど、本当に良かったです。
リーダーがその場しのぎの対処をするよりも、Aさんだけでなく、周りの成長も含め、チームにまかせて良かったです。本当にAさんは良い仲間を持てたと思います。これからも、今回の体験を活かしていっていただきたいと思いますし、一時のリーダーでしたが、Aさんのその後をこっそり見に行きたいと思います。

リーダーも忍耐は必要ですねえ。

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