リーダーの振舞いが風土を作る

先日、ある企業の経営者と知り合いで、企業訪問をさせていただきました。その時に気づいた事があります。
その経営者には、「うちと解らないようにしてくれればいいよ」とブログの掲載を許していただきました。
なので、念のためのザックリとではありますが、書かせていただきます。

その経営者さんは、凄く前向きな方で、「これからは組織を変えるには、社員の声を吸い上げながら、どんどん変化していかなければならない。でも、社員がなかなか言ってこないんだよ。上司の命令は絶対と思っているようで、それはそれで素晴らしい事なんだけれども、もっと反発するくらいでないと、変わらないんだと思うよ。」と、企業の変革に前向きな発言をされています。

しかし、社員から声が上がらないというのは、上げづらい環境があるのではないか、というお話しも結構させていただいていました。しかし、かなり抑制するものはなくなっていると思うというお話しだったので、「何ででしょうね」という話をしていました。
そこで、「ちょっと外部の目から見てみてよ」というお話しで、伺ったわけです。
ですから、私を含め、3名でお邪魔しました。

凄く綺麗な環境で、社員さんもニコニコと仕事をされていて、確かに素敵な会社だなあと感じました。
社員さんにお話しを伺っても、「いい環境で仕事ができて有難いです。」「文句などありません。」という声も聞こえてくる程です。他の2名の方も、「何も問題がないと思うから声が上がらないだけで、それ以上を望む人が居ないということじゃないんですか。」と仰っていました。

ところが、案内をしてもらっている途中で、気づいてしまいました。
ある部署を任されているリーダーが、「どうしても言いづらい事があれば、私に言って。私の方が立場的に上だから、聞かせる事はできるから。」とある元気のない部下に声をかけている様子を・・・。

他の二人は、上司も素晴らしい!と絶賛だったのですが、私にはこれが原因なんだ!と思えました。
つまり、何でも言える環境のはずですが、上司の言うことは絶対という風土がここに見えたのです。

たまたまその方だけかと思って、その時は黙っていました。
ところが、内部訪問を終えて、社長室でお話ししていると、その経営者が言いました。「気になった所はありますか。ダメな所はダメな所で、社長権限ですぐに直させますので、何でも言って下さい。」と。

あっ、社長もそうなんだ!!

年上の経営者なので、言葉を選びながらではありますが、お伝えしました。
「上司だから言うことを聞きなさい」というような言葉に聞こえるということ。社長自らもその言葉を使われた事。

すると、経営者は大きなお声で笑われて、おっしゃいました。
「私の振舞いが、この風土を作ってしまったんだなあ。それは言えないよな。言っても違えば聞いてもらえないんだから、正しい事しか言えなくしてしまっているものな。ああ、私が原因か。やっちまったなあ。」

あとのお二人も、「私もやってしまっているなあ」と仰っていました。
その声を伺いながら、変革を起こす時には、強いリーダーシップがあってこそなのに、日々の改善は、見守らなければならないとすると、切り替えが必要になるんだなあと感じました。

その事も私の感想としてお伝えしたところ、なるほど!と言いながら、その経営者が大切な事を教えて下さいました。
「切り替えは、独りよがりでは、結局、機嫌が良い悪いとしか受け取られない。だから、今は言っても良い時なのか、従う時なのか、を解りやすいように表現していかないと、その切替は上手くいかないと思う。その部分を明確にしないために、強いリーダーのまま、言え!と強要していたのかもしれない。ちゃんと切り替わった事を伝える事が大切だと思う。まあ、私が切り替えてなかった事に気付けて良かったよ。これからだな。」と。

凄く大切な事を教えていただきました。
これからの自分の糧にしていきたいと思います。

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