リーダーは嫌われる事を恐れない

昨日はゆっくり家族との時間を過ごしました。家族と居て、子供との会話をしている時に、ふと父親の事を思い出しました。それが中学のときに言われたことで、今も大切にしている言葉でした。リーダーは嫌われる事を恐れるな!

私が中学3年生の時なので、かなり前になってしまいましたが、当時私はバレーボール部(以下バレー部)に所属し、キャプテンを任されていました。新入生が入り、また夏の総体に向けてみんなで頑張りだした矢先の事でした。顧問の先生が盲腸で入院をしてしまいました。その間、顧問の先生の代わりにチームを頼むぞと言われ、先生に練習の様子を報告しに行きながらも、副顧問の先生に指示を受けて、ひっぱっていくことになるのです。副顧問の先生は当時ほとんど練習には参加してなかったため、急にひっぱっていこうと思ってもみんないう事を聴きません。日頃の関わりがないのにこんな時だけ・・・という思いがあったのでしょう。副顧問も察して、ハードな練習メニューを私に指示し、また来なくなりました。
急に鬼のようになった私にみんなは反発もしてきます。しかも練習をサボる同級生まででてきました。「最後までみんな揃って練習をしたい」「総体で後悔したくない」「顧問の先生が居ないことを理由にしたくない」そんな思いから、サボった子を部活動の始まる時間前に探して参加させたり、嫌そうなみんなにハードなメニューを伝えて一緒に頑張ったりしました。でも、どこかで「これで嫌われたらどうしよう」と私の中で、みんなと同じ目線でメニューを甘くしてしまいたい自分も居ました。

そんな葛藤をしながら居た時期に、父が何を思ったのか、察したのか、急に語りかけてきました。
「おい。顧問の先生が居ないとお前がひっぱって行くんだよな。決して仲間に好かれようとするなよ。リーダーは嫌われる事を恐れたらチームを強くは出来ない。本当にチームの事を考えるなら、自分の身の安全よりも、チームが強くなることを考えろよ。いいか、決してリーダーは嫌われる事を恐れるなよ」
ずっと野球をやってきた父の言葉は、私の心情をズバリ言い当てていました。私の葛藤を見抜かれているようでした。
その時、「きっと分かってくれる人は居るんだろうな。だから自分じゃなくて、チームの事を考える事に集中しよう」と思えるようになりました。

ふっきれた私に迷いはなかった。サボる子は連れ戻す。みんなで最後まで強くなることを諦めない!と決めて、副キャプテンにみんなの愚痴は聞いてあげてねとお願いし、とにかく顧問の先生が帰るまではと歯を食いしばりました。
その後顧問の先生は戻ってきましたが、急に体力が回復するわけはないので、当分は顧問の先生が居ても鬼婆のような私でした。

そして、とうとう夏。総体を迎えました。私たちは顧問の先生が「こんなに頑張っているのに、なんで勝たせてあげられないのか」と泣いたほど弱いチームでした。しかし、最後の総体の市の大会ではありますが、優勝することができました。その瞬間の仲間の声を今でも忘れません。
最後の一点が入ったとき、コートの中の全員が私に抱きついてきました。そして「この優勝は里江さんがチームのために頑張ってくれたおかげだよ。今一番ありがとうって言いたい」とみんながありがとうって伝えにきてくれました。そして、試合の挨拶が終わったあと、顧問の先生を胴上げしました。その後自然にみんなが私を胴上げしてくれました。どんなに嫌われてもチームの事を思おうとしていたことが、みんなに伝わっていたんだと初めて感じた瞬間でした。だから、その後私は嫌われる事を恐れなくなりました。父の言葉のおかげでした。

体験は大きい。けれども、体験のない人にはやはり勇気のいること。リーダーの思いを分かってあげられる自分でいたいと思います。父のように影で支えてあげられる自分でありたいと今は思っています。
嫌われたくないと思っている人達に何か伝わればと思い、ここに古い思い出ではありますが、書かせていただきました。

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