辞める前に!

物を大切にすることと、物を捨てられないのは紙一重だなあと思うことがあります。私は、物を捨てられず、愛情を持ってしまうタイプ。メンテナンスして一段と愛着が湧いてしまうタイプです。
そのこともあって、こういう発想に至るのかもしれませんが、仕事をやめようと思った時に出逢う本って、不思議なものですね。

何度と無くお話しさせていただいている気がします。
が、私に「この仕事をやめようと思った事は無いのですか」と聞いて下さる方がいらっしゃいます。が、正直、今の仕事ではありません。
しかし、前の仕事では、まだ入って数ヶ月の頃からやめたいと思っていました。

給料は極端に少ない。
やることは手持ち無沙汰。
駒のように使われている感。
でも、人はいい人達ばかり。

やめたいならいつでも辞められるのに、文句をいいながら続ける。「石の上にも三年って言うし、とりあえず続けてみるか。」
愚痴が出る時ってこんなものではないでしょうか。

でも、本当は、結婚したばかりで就職活動して、5社面接。1社は「いつ子供ができるか解りませんよね」と書類で断られました。4社は面談はしていただいたのですが、「土日は働いてもらいたい。」「◯◯という条件だったけど、◯◯兼☓☓で働けるなら来て欲しい。」と条件が付く。土日は無理。兼務はいいけど、それってやはり休みがないじゃん。など。
条件ばかりを見て選んでいた。一社は筆記試験と面接があり、なんと倍率15倍以上だったようです。なんとか通過したものの、結局、(子供ができる前提で)託児所のある職場を条件だけで選んだ。

だから、採用してもらっても条件面への愚痴ばかり。でも、終活が大変なのは解ったから、とりあえず頑張ろうとしていただけ。これもまた「逃げ」

こんな状態の時に、辞める勢いが欲しくて読んだ本には、グサッとくる言葉が並んでいました。
「文句を言うほど、あなたは真剣に仕事に取り組んだのか。」
「やるだけやった人だけが、堂々と辞めろ!真剣に取り組んでも無いやつが、ああだこうだ言うんじゃねえ!」
「まずはとことんやってから決めろ!」
と、当時の私にはそんな叱咤激励に聞こえた本。

「私、逃げてる」
「私、確かに仕事に興味を持って取り組んではない。なめているかも。」
「これだけを支払うのに、どれだけ同僚たちは頑張っているんだろうか」
と思ったら、急に自分が情けなくなって、悔しくて涙が出ました。
「やめたきゃやめろ!」って本の題は言うのに、こんな中途半端じゃ辞められないじゃん!

それからは、悔しさをバネに、とことんやってみました。その内に楽しくなってきたり、こんなに大変な思いをしてこれだけを得るんだなと見えてくると、今までと同じ職場に居る気がしませんでした。風景が全く違うんです。聞こえて来るものも。そして自分の動きも。

そうなってくると、ドンドン、会社に対する愛着が湧いてきます。
もっと私にできることはないだろうか。
会社がよくなるためにできることはないだろうか。

条件ばかりを考えて入社した会社だったはずなのに、いつの間にか、愛社精神ではナンバー3だ(1位社長、2位息子、3位私)と自負するまでになりました。
だから、今でも「私の会社」って言っちゃうんですよね。

ただ、その後に出会って、続けて関わっている企業様や、関わりが続いている人達は、前の職場同様、大切な人達、大切な企業、私の仲間、私の職場になっています。
きっと、私の特性でもあるとは思いますが、困難を一緒に乗り越えた人達や、難局を共に乗り越えた職場は、大切な宝物ですし、これからの私を育てる大切な力になっていると思います。

なので、辞めたいと思う事が有る人には言いたい。
一緒に頑張ってきた人はどんな人達ですか。
どんな難局を乗り越えてきたのですか。
今、真剣にやり遂げた感はありますか。それは本当に「真剣だった」と言えますか。
辞められないとしたら、あなたは何に拘りを持っていますか。
もう少し、そこでやってみられることって何がありますか。

決断するのは一瞬でできるからこそ、その前に真剣に取り組んでみること、真剣に考えて動いてみることをしてみてほしい。

一つの所で頑張るのも、キャリアアップで転々とするのも、お互いに自分を高めることかもしれませんが、私の特質上なのか、一箇所でまずは「やり遂げた感」を持って戴けたらいいなと思いました。あくまでも私の性格からの考え方ですが、一つの考えとして受け取ってみていただけたら嬉しいです。

コメント

  1. coachsmile より:

    「イヤならやめろ!」の本の著者である堀場製作所の創業者が亡くなられたそうです。この記事の数日後。
    偶然とは言え、影響を与えてくださった著者のご冥福をお祈りします。

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