常識がないのではなくて、教えてない

先日、とある企業の新入社員のフォローアップに伺いました。
離職者は居らず、ほっとしていましたが、少し気になる人は居ました。話をしてみると、同期の支えがあるから、頑張っているという様子です。
けれども、かなり無理をしているのが解ります。
何が辛いのかって、「常識だろ!」と上司に怒られることだそうです。これがどうして?
この新人A君に教えられた事があります。

それは、「常識」は、「常識」で検索しても出てこないのです。

今までは、何でも検索すれば、答えらしきものがあり、それに従って行動すれば、大きな失敗もなくやってきました。業務に関しては、全く解らないので、上司も先輩方も丁寧に教えて下さいます。
けれども、「常識だろ」と上司に怒鳴られても、常識が解らないのです。

検索しても、一般教養という意味の常識であったり、「常識」の言葉の意味は出てくるけれども、どういうものが常識なのかが、見えてこないと言うのです。
だから、怒られるたびに「どれの事を言っているの?」「さっきの何がダメなの?」と思ってしまって、上司の言葉も理解できないそうです。

上司に「どういうのが常識ですか。」と勇気をもって聞いてみたそうです。そうすると、「私を茶化すのか。常識は常識だろ。親に聞いてみろ。」と更に怒鳴られたそうです。親に確認すると、親も「それは◯◯をしなさいって事だよ。」と教えてくれたそうですが、それの何が常識なのか解らないそうです。なぜなら、初めて聞いた事だからだと。

つまり、検索して出てこないから、知らないのです。
反対の立場から見ると、教えてない、教える機会がなかっただけなんだなと、感じました。
なのに、A君に「常識知らず」というレッテルが貼られた事が、A君にとっては悔しくて、我慢できなくて、辞めたくなったのを同期が止めたようでした。

私から見ていても、研修中も少し集中力がないようで、研修担当者にも事情を話しておきました。

実際に、そのフォローアップ研修でも、不思議な光景がありました。
それは、女性新人社員が、私服で参加していたのですが、ミニスカートや原色の服装、フリフリのスカート、ペティキュアなど、研修を受けに来る格好がじゃないような気がしました。

そこで、皆さんにお昼休みに確認しました。
私 「今日は会社の業務の一環として、ここに参加されていると思いますが、その格好って、みんなはどう感じているの?」
新人「えっ?何かおかしいんでしょうか。」
私 「例えば、下着が見えそうなミニスカートとかってどう?」
新人「どうって言われても、私服ですから。」
私 「そもそも、男性はクールビズの格好ですが、女性は私服で良いと指示が出ていたんですか。」
新人「何も言われなかったので、私服で良いと思ってきました。」
私 「そうなのね。でも、私も普段は、皆さんにとって一お客様なんだけど、お客様の前で、その格好って良いの?」
新人「ダメなんですか。そういう感覚はなかったです。(沈黙)」
私 「なら私服が大丈夫だとしても、どこまでなら相手を不快にさせないと思う?」
新人「服ではなく、態度だけじゃダメなんですね。」
私 「それは、新人研修でやったよね。第一印象が大切だって。細かい内容も載せておいたよね。そこには則しているの?」
新人「ああ、ありましたね。」
私 「だよね。どこまでが私服で大丈夫な範囲なのか解る?」
新人「うーん。相手次第なので解りません。教えてください。」
私 「では、私達の年齢からすると・・(中略)・・」
新人「そうなんですね。知らなかったです。ありがとうございました。」

やはり知らないんですよね。なので、根気よく伝えました。特にこれから夏になると露出が増えそうなので、そのことについても触れながら・・・。
すると、メモを真剣に取りながら、聴くんです。
ああ、やっぱり教えてあげたら素直に聴けるんだなあと。

でも、そのたびに教えてあげるんじゃ、彼女達はこれから、こういう事を続けていくのだろうか。
不安になって、「お客様はどこにいらっしゃるか解らない。だからこそ、気をつける事はどんな事があるのか」を、改めて話し合いをしてもらいました。

私達の使う「常識」は、日常生活の中で、私達が伝えてこなかった責任もあるのかもしれません。かと言って、都度教えるのでは、スキルであって、相手への気遣いや心遣いではなくなってしまいます。マナー本来の意味もなくなってしまいます。

相手の個性を尊重しましょうと育ってきたので、彼女たちが服装や礼儀に対して、「不快」と感じる事が少なすぎて、心地良く感じる行為が解らないのです。
(全員ではありません。)

「こんな事まで教えなくちゃならないのか」ではなく、「不快」と感じないから、言われてみないと解らないのです。
お客様に怒られて、何が不快にさせたのか、解らないのです。

だったら、自分の子供にもそうですが、日々の中で気になった事は、親がしっかり伝えていく必要もあるでしょうし、それで社会に出てきたのでしたら、社会が教えていくしかないのではないでしょうか。

その日も、そもそも「制服で来なさい。」と言わなくても、今までは社内で行う研修なので、皆さん、制服だったのだそうです。
けれども、今回は、LINEで繋がっている女性で、「何を着ていけばいいの?」「私服でいいんじゃない?」となったようです。研修担当者も今後の課題になりましたと話していらっしゃいました。
ちなみに、LINEで繋がっていない女性は、スーツや制服で来ていましたが、多数居らっしゃる中で、各1名ずつで、その人達が「教えてくれたらいいのに~」と仰ってたほどだったのです。

「検索しても出てこないんです。」という答えも衝撃でしたが、「不快」と思うことが少ないのですから、「相手に対する思いやり」の範疇も違うのですから、根気よく教えていくしかないのでしょうね。

コメント

  1. 山本政也 より:

    おはようございます。
    いつも気づきをありがとうございます。
    今日のブログを拝見して私が感じたことは上司の常識とのギャップについてです。
    新人と管理職でギャップがあるように中堅と管理職でもギャップを感じています。
    管理職は上を目指してがむしゃらに頑張ってきた人が多いですが、中堅はあまり上に上がりたがらないなどです。

    この辺りのギャップを理解して自分の考えだけに捉われず最善の方法を見つけることがリーダーに必要なスキルだと感じました。

  2. coachsmile より:

    山本さん
    遅くなってしまいました。
    ほんとに考えが多様化してる中で、色んな考え方を受け止めていく、知っていくと言うことも大切なのでしょうね。
    ありがとうございます。

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