辞めたい部下をあなたならどうする?

凄く優秀で、辞めたいと部下が突然言ってきたら、あなたならどうしますか。

とある企業様の経営者とお話しをさせていただいた時に、こんな話がありました。
「smilecoachさんさあ、辞めたいっていう優秀な部下が居たらどうするの?」と。
どうやら、その方としては、大切にしていた部下なのですが、その人が、「違う道に進みたい」と急に言っていらしたそうです。

その経営者様は、「修行して、数年たったら戻ってきてくれ。」とお話しをされたのですが、ナンバー2の方が、「今辞められたら困る」と、辞めたい人を説得し、結局残る事になりました。

しかし、それから5年経ったそうですが、他の企業の様子も知らず、最初から幹部候補として育ててしまったために、部下に「どうするの?」「しっかりやってくれないと困るんだけど。」と他責にして叱る事は上手になったが、全く自分は動かない上司へと育ってしまい、いまさらだけれど、5年前に思いとどまらせたナンバー2の人と共に、「失敗したね」と話しているそうです。

そんな経緯を伺った上で、私がまず言ってしまったこと。
「なるほど。そんな事があったんですね。確かに他責の言葉は多いように聞こえていましたが・・・・。だとすると、育てた側の責任もあるのですね。」

一瞬経営者は黙ってしまいました。そして、「僕達も彼と同じなんだな。彼だけのせいにしてたよ。情けない・・・。人の事を言えないな。」
「じゃ、これからどうするよ。
 でも、smilecoachさんだったらどうしてたんだよ。」

先に、私ならどうしていたのか?を聞かれたので、答えました。
私の少ない体験からすると、「辞める」と自分の上司を超えて、経営者にお話ししたとすれば、何か聞いて欲しい事が有る時でした。でも、話を聞くと、自分で解決をしなければならない事を周りの責任にしていることが大半でした。
ですから、私達も経営者から退職希望の話を聞いたりすると、「裏付け」ではないですが、現場の話や、直属のリーダーの話、勤務態度、周りの評価なども含め、再度聞いて回ると、やはり「周りが変えてくれることを待っている」状態でした。

新しい人達や、パートさん達だと、環境を整備しない事には、芋づる式に辞めてしまう可能性もあるので、私達ができる環境整備はしながら、呼び止める事はありましたが、それがリーダー以上であれば、言いたいことや不満なども含め、じっくり聞いた上で、「いつでも戻っておいで」と言って、送り出しました。

事情が家庭環境等の場合には、会社としてサポートできる部分はサポートしながら、続けられるか検討はしましたが、基本的にはリーダー以上の人の場合は、引き止めて、「どんどん他責がひどくなる」事が多かったので、辞めたいという時には辞めていただく事にしました。

そんなお話しをさせていただいた後に、「で?これからどうされますか。今更、彼も転職できる年齢じゃないから、頑張ろうとされているんじゃないでしょうか。」とお話しすると、育て方の方に話しが切り替わりました。
つまり、「彼に起こっている事は、関わり方の結果であって、原因は自分達の関わり方なんじゃないか」という方向に話が向いたわけです。

全てが全て、上司の関わり方の責任でなかったとしても、上司として、今の彼に何ができるのだろうか。
評価をすることではなく、今から、幹部として、いかになって欲しいのだろうか。
そもそも、彼とこのような話をしたことがあるのだろうか。

色々と伺ったり、話している内に、ぼそっと、経営者がおっしゃいました。
「先代が教育してこなかったから、僕達が苦労する、なんて、僕達も他責にしていたんだなあ。
 彼の事だけじゃなくて、
 全てに対して、そうだったのかも。
 彼が、僕達に育てられたんだから、他責になるのも仕方ないよなあ。
 ああ、悪の根源は僕達かあ。」

一瞬にしては長い沈黙がありましたが、明らかに「辞めようとした時にどうするか」という話は、どこかに飛んでいき、もっと本質的な話ができたように思います。

終わったことを悔やむよりも、きっとその時には最善だったのでしょうから、それはそれ。
そこから学んだことがあれば、次に活かす事はできますものね。

この場合だと、現状は、彼は残っているのです。
これからどう関わるのかを考えていきたいものですね。

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