培ったものだからこそ、邪魔になることもある

人の数だけ答えがある。だから答えがあるわけじゃないよね?
けど、基本はある。芯を作るという感じでしょうか。
私は理解に時間がかかるタイプなので、ぶち当たっては考え、打ちのめされ、また考えては試す。
すると、自分の中で答えが見つかってきます。けれど、考えた答えは、ついつい沢山失敗をした上での答えだから、それだけが正しいと思い込んでしまうようです。
培ったものが邪魔をすることが、沢山あることに気づきました。

体験から学んだ事は、自分にとって感情を伴うものが多かったためか、「これが一番だ」と思うと、なかなかそれを曲げられなくなります。
それが、意思であれば、他と違う事のゴリ押しになることに気づける瞬間はあるのですが、知識として身につけてきたものは、なかなか変えられない部分があるように感じました。

例えば、問題解決を日々していく事が当たり前になっていたのに、コーチングをしようと思うと、さっと浮かぶのは、解決策のための表面的なコーチングになってしまいます。
これはこれで、日々の中では非常に重要なのですが、コーチングはそもそも、「重要だけれど、緊急じゃないこと」などに非常に有効な事が多く、表面的な部分ではない内面の部分にも目を向けることが重要であったりします。内面の部分の方がより重要なのです。

以前、面白い組織の思考サイクル図を拝見しました。
それは、ボトルネックになる部分を解決せずに、表層的な問題解決を繰り返しても、ずっと同じような問題が起き続け、また同じ問題に戻ってくるというものでした。
それを思考だけで解決しようと思って、ボトルネック探しをしてみても、結局は起こっている現象と同じような「負のスパイラル」が回り続け、何も解決に至らないというものでした。

そこで、その図を見せて、ある企業で話し合いの材料にしたことがありました。
その企業でも同じような事が起こっていたからです。

そのスパイラルから抜け出すために、敢えて「負のスパイラルがあることで得られているものは何か?」という問いをしてみました。
すると、最初は「悪影響ばかりだ」と仰っていた方々が、少しの沈黙の後、ボソボソとお話しを始めました。
「変えて失敗したら、責任を取らされるのが怖い」「馴れた事を変えるのは面倒」だから、その恐怖や面倒臭さから逃れられるという事でした。

そんな本音を上司側から言い始めて下さったために、部下からも出てきました。「時間に追われているのに、変えて検証に時間を更に取られたら、帰れなくなる。」など。
結局、「得られているもの」について話し始めたはずが、言葉に出せなかった本音が出始め、「そんな思いでやっていたら、本気になれるはずもないよね。」「そもそもボトルネックなんてどうでもいいんじゃないだろうか。話し合いばっかで、結局やりたくないのは変わらないものね。」と、諦めムード。

「では、このままずっと続けていきますか?」と確認をとると、それは良くない。会社が潰れてしまう。いづれは変えなくちゃ。など、少し重い腰が上がる雰囲気になってきました。
すると、私が言うまでもなく、「このネガティブな思いに勝てるだけの、やると得することとか、やるとこう変わるって事を出してみようぜ!」と、上司側から解決策前に、気持ちが盛り上がるように自分達で考えよう!という雰囲気になりました。

その後は、気分が盛り上がった所で、行動を決め、やれることをそれぞれがやってみることになりました。
解決策自体は、大きく変わってないのに、明らかに「やろう」という意志が大きく変化しているのを、その場の雰囲気からも感じました。
その時に、表面的な解決だけでは、また同じことを繰り返していたのかもなと、改めて感じる事ができ、管理職として慣れてしまっていた問題解決も重要だけれど、その前に皆が本気になるような関わりが必要なんだと、コーチングの可能性を感じざるを得ませんでした。

それ以来、また「感情も大切」と学んだ私は、そこにスポットが当たりすぎてしまうわけです。アプローチは一つじゃないはずなのに・・・。
「いかに相手が知らない視点を増やす事に関われるのか。」
「いかに本気で取り組む事に関われるのか。」
これは、答えが一つじゃないはずなので、永遠に私自身も学び続ける視点として持っていたい問いとなります。

培ったものだからこそ、新しい視点を邪魔するものになるかもしれない危険性から脱するためには、自分に問いかけるための問いを持っていたいなと思いました。

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