思考を狭めるリーダーの関わり方

先日、とある管理職の方とお話をさせていただいた時に、部下からフィードバックももらったけれども、良いことばかり書いてあって、本当かどうかを知りたいから、半日でも近くで観察をしてほしいと依頼をされました。

その管理職(以下Aさん)は、部下にも「質問をしてくれて、考えさせてくれる良い上司」と言われてますし、ご自身も自負されていました。
けれども、その割には、自分が居ないと、仕事が上手く回らず、結局自分が判断せざるを得なくなるのは何かが変なんだろうけれど、何が変なのか解らないから見て欲しいとおっしゃるのです。

私もまるで透明人間気分で伺います。と言いながら、早速、3時間ですが、お伺いをしました。

朝の挨拶から、先頭にたって部下を大切にされているんであろう声掛けをされていて、何も起こらないだろうなと思いながら、拝見していました。

が、早速部下Bさんから「どうしましょうか」の質問

A「◯◯さんはどうしたいの?例えば、☓☓とか、△△とか、そういうような事なんだけど・・。」
B「そうですね。☓☓したいと思います。」
A「いいんじゃない。やってみてよ。」
B「はい」
すぐさま、Aさんに伺いました。いつもこういう質問なのかと。
するとAさんは、「そうだよ。例をあげてあげないと、応えられないんだよ。」と。
「本当ですか」と聞くと、今度来たら、試してみようか。

その後30分位したころにCさんがやってきました。
A「どうした?」
C「はい。ちょっとトラブルで、参りました。」
A「トラブル?どういう状況なんだ」
C「(中略)という事なんです。どうしましょうか。」
A「どうしたいんだ。・・・んっ。どうしたいんだ。」
C「えっ?!えっと・・・・・。そうですね・・・・。」
C「え」
A(私に向けて)「ほらね」
私「あれ?Cさん、何かいいかけませんでした?」
C「えっ、あっ、その・・・。間違っているかもしれませんが、□□とかするのが良いと思いますが。」
A「んっ?あっ、いいんじゃない。ん、あの、やってごらんよ。」

CさんとAさんに何が起こったのでしょうか。
Cさんに聴いてみました。何だか動揺していたみたいだけれど。どうしたの。
c「いつも、こうしてほしい的な案を下さるのですが、今回なかったので、考えていただけです。
 しかも、間違った事を言ったんじゃ、叱られると思いました。
Aさんは?と聞くと
A「いや、僕が考えてない案が上がったもんだから、正直ビックリしたのと、いつもみたいに言ってやりたいけど、正直動揺していましたね。」

お互いの言葉を聴いて、ちょっと変化があったことを確認して、Cさんが退席されてから、Aさんと話しました。
「結構、部下も考えを持っているもんですね。僕が思考を狭めてしまっていたのかなあ。だから、僕が休むと困っていたんだろうなあ。」

そうばかりではないと思いますが、その瞬間から、「例えば」って言いたい事を我慢した結果、部下が良い提案をしてくれたという体験は大きかったようです。

上記だけは彼から言ってもいいと言われたので、内容だけは省いてお伝えしましたが、他にもいくつか指摘をさせていただきました。
やはり自分では解らない事もありますよね。

けれども、何より、声のかけ方一つで変わるという実感だけはお互いにすることができました。
また、リーダーが思考を狭めてしまうことがあるんだという事も客観的に見えるんだなと思いました。

他の事例が紹介できなくて、一つだけの例ではありますが、貴方自身ももしかしたら、あなたが部下の思考を狭めるような事をしていませんか。

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