改革の前に必要なこと

先日、企業が統合したけれど、なかなか相乗効果が生まれず、対立が起こっているから、お互いを知るための時間を取りたい、という事で、サポートさせていただくために統合企業に伺いました。
そこで感じた事です。

それは、統合後の改革や相乗効果を起こす前に必要な事があるんだなということです。

吸収とは無縁の対等な関係での統合で、お互いの領域を包括してより良いものをつくりあげようという事で統合したはずなのですが、人事交流が上手くいかないとの事でした。けれども、それぞれの階層で起こっている事が一部分ではあるでしょうが見えました。
それは、きっと企業統合以外でも起こっているチームの相乗効果を起こさせたい時にも似ているんだろうと想像できます。

何が起こっていたのか・・・。

それは、率直に言うと「自分たちが正しい」「自分のやり方が正しい」という思いを手放せない事です。

守秘義務があるためザクッとしか話せませんが、最初は「レベルの低いプロジェクトメンバーを預けられて、その人が一人としてカウントされてしまうと、リーダーである私が大変。どうしたらいいか。」というメンバーを決めた上司への怒りも感じるような話しが聴こえてきました。

その人は色んな人と話すうちに、「上司に提言しつづけることを頑張ります。」と仰っていましたが、関わる人が「アプローチ方法が共有しているのか」「部下はどう思っているのか」「他の人がその部下をメンバーになっても同じなのか」など質問もしましたが、「私は精一杯やっている。やり方も伝えているし、任せたいのにレベルが低すぎて駄目。」と頑なです。

周りの人が言いました。「その部下に合うやり方はどんな方法がほかにありますか」と。
「まあ、部分的に任せる部分を小さくして行う事もできるかもしれません。けれども、私達は今までこの事は任せたという形で縦割り分担なんです。なのに、その部下はレベルが低いから縦割りできなくて・・・。」と、自分のやり方に合わせられない事が悪いといいます。

その部下と同じ旧会社だった人が「プロセス毎に分担を見直しながら私達はやっていたので、その部下も部分的だったらできなくはないのではないでしょうか。」と、部下を活かす立場のリーダーに向けてという思いで提案をされました。
が、答えは「確かにそうですね。そういうやり方もあるでしょうが、あれだけレベルが低くては、元々の部下との関わり方に差が出てしまい良くないと思うんです」と、「同じようにしたい」という姿勢が崩れない。
結局、「上司に今の状況を言い続けます。」となりました。

が、終わってから思わず、口を出してしまいました。
「リーダーはどういうチームを作り、どういう結果を求めていらっしゃいますか。」
リーダーは「結果を出せるチームです。」と。「リーダーとして、違うやり方しか知らないその部下を今の状況からどう成長させたいですか。」と。

3分以上の沈黙が続きました。
その後、そのリーダーが口を開きました。「私が今までに拘りすぎなんですかね。どうしたらいいかは解りませんが、今、ちょっと今までに拘りすぎている気がしてきました。もう少し、駄目と決めつけず、育てる気持ちにならないといけないですね。」

どうしたらいいかを考え始めたので、その後もずっと一人で考えこんでいらっしゃる方をそのままにして帰ってきました。
今度、お会いする時に何が起こっているのか、少し楽しみでもありますが、「自分が正しい」「自分が基準」という事を手放すのは、自分も不安定になる事なので、リスクはあるでしょうが、企業統合や、組織改革後の組織には、一段と「自分の基準を手放すこと」が必要ではないでしょうか。

その手放すためには、「自分の基準が本当に基準としてもよいのか」「それが基準であるという前提がなかったらどうなのか」「相手の基準や前提は何なのか」など、自分も相手も客観的に見てみる事が必要なのではないでしょうか。

目指す所はシナジー効果を期待していても、手法で食い違う部分が出てくるのが見えてきます。
その階層ごとにその食い違う部分も違うでしょうが、前提となっていることも、更に新たに創り上げるつもりで関わる事が大切なのでしょうね。

自分の成功体験が邪魔になる事もあるので、私達個人個人も気をつけていきたいものですね。

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