会議でリーダーの無意識が場を支配する

会議で先日面白い事が起こりました。
その会議は、運営コーチとして私も参加するのですが、基本的には皆さんが自分たちで行います。私はするのは、その場で皆さんが言いやすい場になっているのかを確認しながら、全員が納得できる結果を会議で導き出すことです。
そこで、リーダーの無意識がどんなに場に影響するかを見ました。

ある職場の話しで、ファシリテーター役のリーダーが部下たちにいろんなことを質問しながら、答えていきます。

最初の頃は、アイスブレイクの効果もあり、和気藹々と進んでいました。
が、実は終了時間が明確でした。なぜなら、partさんも参加されていて、終了時間までに終わらないと、合意が難しくなってしまうからです。
その時間が近づいてきたら、有ることが起こり始めました。

部下が話したいことがあったのですが、時間が気になり、ファシリテーターであるリーダーが言いました。
「今は、そのことを話す時間ではなくて、◯◯について話す時間です。その点も大切にしたいんだろうけど、そこはいいから、◯◯に向かって話して欲しい。」

実は、全然別の話しがされていたわけではなく、そもそもの「目的」を再確認したくなった人が、目的がずれているように思い、確認をしている時だったのです。

リーダーの関わりによって、その後の行動は凄く表面的なものしか出てきませんでした。
参加者の声は沈んでしまっていて、納得感がないなという雰囲気が伝わってきます。けれども、リーダーだけが時間内に行動計画まで立てられた事に満足をしているのです。

リーダーに尋ねました。
「今の会議はうまくいきましたか」と。

すると、リーダーは「上手くいきました。
時間内にアウトプットもできましたし、みんなも積極的に発言してくれて、こんな会議は初めてです。ありがとうございます。」

今度は参加者に確認しました。
「リーダーはそう仰っていますが、本当ですか。」
沈黙しかありません。

リーダーにこの沈黙の意味は何かと聞いてみました。
リーダーは、かなり長い沈黙の後、「smilecoachさんが、それを私に聞くということは、私が何かしたのかなと思って考えてみると、一度、私が皆の議論を止めて、方向性を変えた事があるんだけど、あそこで何かが起こっていたのだろうか。私には、申し訳ないが、解らないな。」

再度メンバーに確認しました。
「その時に、何が起こっていましたか。それまでと変わったのでしたら、何が変わったのですか。」

すると、勇気を持って一人の参加者が発言をしてくれました。
「あのお。別にその時が悪いわけじゃないですが、私は目的がずれている気がして、確認したかったのですが、結局確認できなかったので、私としては目的がずれたままの行動計画になっている気がします。」

上司は急に険しい顔になりました。「いや、いい行動計画じゃないか。いつもは私が一方的に言っている事だが、それがみんなから出てきたんだから、いいじゃないか。何が不満なんだ!」

また場が静かになりました。
再度、上司に伺いました。「この沈黙は何だと思いますか。」
「私にばかり、聞かないでくれ。smilecoachさんから見たらどう見えるのか言ってみてくれ。」

私も応えました。
「私には今は、あなた(上司)が怒っている事が伝わっている沈黙のように感じます。先ほどの沈黙とは違う気がします。」

静かに何かを考えているようで、静かになりました。部下もみんな下を向いています。
場の空気を沈めているのは、実は私なのかなと反省しながら、「静かにさせてしまってごめんなさいね。私が不要な事を聞いてしまったのかもしれません。」と言いました。

すると、上司がおっしゃいました。
「いや、あなたのせいじゃないな。私のせいだ。私は確かにイラッとした。そしたら、みんなは黙るしかないよな。
 あの時だって、みんなが目的を確認したかったのに、僕が急いで行動計画って言ってしまったが、さっきの◯◯君の発言を聞いてみると、あの時に止めなかったら、私の想定外の行動計画だって出てきたかもしれない。もしかしたら、同じ行動計画になっても、満足度は高まったかもしれない。それを私が時間ばかり気にして、無理矢理止めてしまったんだよな。私のせいだ。申し訳ない。」

「いえいえ、謝るというよりは、その場でそういう事が起こっていたのかもという事ですよね。次に活かしましょう。」

そういった直後でした。上司が参加者に言いました。
「悪い!せっかく集まってくれたのに、いつもと同じ行動計画でも、議論が出来た事に満足してしまった。結局誘導だな。みんなの意思も尊重した会議をしたいためにsmilecoachさんにもお願いしたから、これからは自分の感情もちょっと気をつけていくよ。ほんと、悪い!」

部下は大半が首を横に振りながら、いいですよというような意思表示を言葉なくしていましたが、ある部下が拍手をしました。
つられてみんなが拍手をしました。表情もみるみる笑顔になってきました。

上司に伺いました。「今、どんな気分ですか。」
「拍手が起こるとはビックリした。私の影響力が場を支配するんだということが解るよ。みんながこんないい表情してくれるなんて。」と。
部下にも聞きました。
「感動しました。☓☓さんのためなら頑張ろうと思いました。」
「これからの会議が楽しみです。」
「これからは自分も発言したいと思います。」
それぞれがプラスの雰囲気になったところで、会議全体が終了となりました。

リーダーの無意識な言動や表情が、場全体、そして会議の質さえも左右してしまうのですよね。
つぎの会議が楽しみです。

あなたはどんな影響力を持っていますか。

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