会社を閉めた社長の話

昨日、たまたま乗ったタクシーで、得意の運転手さんとの会話から、ビックリした事がありました。
それは、その方が4年前までは製造業の経営者だったのです。

その運転手さんは、「運転手業を始めて2年なので、至らぬ点もあると思いますが、よろしくお願いします。」と頭低く、丁寧な対応をしてくださっていたので、こちらこそよろしくお願いしますと、伝えた後に、その前は何をされていましたかと伺いました。

すると、実は会社を閉めたんです。と。

親から引き継いだ会社なので、存続をしたかったのだけれど、引き継いだ時点でかなりの借金があり、その上、製造業は厳しい時期で、存続のために頑張っても赤字が増す一方だったので、社員や得意先に迷惑をかけずに済むうちに閉めようと決められたそうです。

仰っていたのは、「始まりは直ぐ起業とできるのだけれど、閉めるのは大変なんです。私も、自己破産の申請をして、4年でやっと片付く事になりました。」と。
お客様や社員に対する対応も全てされて、迷惑が掛からないようするには、どうしたらよいのかというお話も聞かせていただき、起業以上にエネルギーが要ることなんだという事を感じました。

つまり、企業の存続も大変だけれど、閉めるのもそれ以上に大変だから、起業することを目的にしてはいけないという事です。
当然のように続いている企業も、変化し続けながら、何度も困難な時期も乗り越え、決して安易ではないという事です。

その運転手さんがおっしゃいました。
「正直、タクシーの仕事をして、こんなに働いているのに、これだけしか貰えないのか、とガッカリすることもあるけれど、経営をしてきて、閉めた人間としては、存続することの大変さも解り、安易に給料上げて欲しいとはいえなくなった。自分が安定して収入があることに、感謝できるようになりました。
私や私の父が、会社を継続できなかったのは、周りの人や社員への感謝も足りなかったから招いた結果だったと思います。周りのせいにし過ぎましたね。(苦笑?)
今は、支えてくれた家族にも、会社の最期まで付き合ってくれた社員にも感謝しかありません。
もちろん、運転手になっても、お客様に本気で感謝を伝えられるようになりました。」と。

なるほど、周りに感謝し、自分の責任とする事で、味方さえ変わっていくんだなと聴いていて感じました。

たまたま伺った話に、感動して、自分も周りの責任に転嫁してしまうことはないかを改めて考えていこうと思い直しました。
そして、感謝を伝え続けていこうと、身が引き締まりました。

この運転手さんに出会えて、お話を伺えたことにも感謝です。
すごく良い出会いをさせていただきました。ありがとうございます。

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