気遣いは目配りも重要

昨日の事です。新幹線の3人がけの窓際に途中の駅の名古屋から品川まで乗ることになりました。その時、隣の二席には既にご夫婦とお子様が。
お母さんが「優しそうなおねえちゃんで良かったなと思たら、そうでもなさそやな。」と関西からの方のようで、私の事を話しているらしい。「えっ、いきなりそんな聞こえる声で何?」と頭に???が並ぶほど思ったら、言われるだけの事をしでかしてました。

名古屋駅で乗り、車両で一番後ろの席なので、その後ろの席に、キャリーバックを置こうとしたら、ベビーカーが畳まず置かれていたので、通路側に並べるようにして置き、いつものように、「すみません」と前を通り窓側の席に座りました。
コートを脱ぎ忘れていたので、もう一度静かに立って、コートを脱ごうとしたら、隣のご夫婦と女の子が、もう一度前を通るのかと思って、全員で避けてくださいました。

「大丈夫ですよ。すみません。」と言って、コートを脱ぎ、コートを壁にかけて座りました。
奥様が「窓側は上じゃなくても、壁にコート掛ける所があるから、壁にかけはったなあ。」と話されました。奥様は非常に咳き込まれていて、マスクはされていますが、とにかく何でも見えたものを口にされるので、更に苦しくなり、咳き込まれます。
私の隣に座っていらっしゃるご主人は、白い用紙をずっと握りしめ、とにかく静かにされています。

そのすぐ後に、「隣、「優しそうなおねえちゃんで良かったなと思たら、そうでもなさそやな。」と娘さんと突然話されたのでした。見るに見れなくて、「えっ?私?」座っただけですけど?と思っていたのですが、とんだ勘違いでした。

ちょうどお昼の時間だったので、奥様がご主人の前のテーブルを出して、「お弁当を食べよな。前の机に置いておくな。フィルムは剥がしておくな。」と解説しながら、お弁当のフィルムを剥がして置かれました。至れり尽くせりで凄いなって思いながらも、スマホでゲーム「数独」を始めた私。
少し目線が下に向いたから、やっと隣のご主人の白い用紙に目が向きました。

白い用紙ではなく、点字の本だったのです。ご主人は本を読んでいらしたのです。
なのに、私は前を通る時にも、すみませんと声はかけたものの、何も気付かず、コートを脱ぐ時も音だけさせて、迷惑かけちゃったんだなという事にやっと気付きました。
ああ、それじゃ言いたくなるよなと思って、心の中で謝りながらも、ずっと話しっぱなしの奥様が凄く素敵に見えてきました。
娘さんの勉強を見てあげて、凄く根気よく教えていらっしゃいます。なかなか優しい口調で教えられないのに、ずっと優しい口調。その合間合間に音がしたり、違う動きをする時には、普通に状況を話します。

お風邪で話しづらいだろうに・・・。
どんどん凄い人に見えるのは、私だったら体調悪い時は、体調悪いからって不機嫌になったり、話すのを休ませてもらうのに、奥様はずっと話されているのです。それがご主人の安心に繋がっている事は静かに本に集中されている事からも伝わってきます。

1時間位した頃でしょうか。急に誰も居ないはずの後ろ側から子供の鳴き声が。「ママ~」という声も。
ん?と思った瞬間に、奥様が「ハイハイ、起きたのね。待ってて。」と。

私が荷物を置いた奥の畳まれないベビーカーには、子供が乗っていたのです。知らなかった、見えなかったと言い訳したくなるほどのビックリ。思わず、後ろを覗きこんでしまいました。「すみません。」とやっとさっきの分も含め、言葉にしました。「いいえ。」とはおっしゃいましたが、「そりゃ、やさしくないわ、私」と自分で突っ込んじゃいました。

一人だと思っていたお子様は、二人いらしたのでした。どうやら飽きてきた子供に、ご主人が「まだ東京まではしばらくかかるよ」と声をかけています。
降りる時は気をつけようと決めて、品川で降りる時には、「前を失礼していいですか。」とお声をかけて、早めに声をかけ、動きました。落ち着いて前のものを避けられるように。

降り際、奥様が「うるさくてすみませんでした。」と声をかけてくださいましたが、「いいえ。」と笑顔で応えるだけで精一杯でした。

乗る時に、少しでも目配りができていたら、ご主人は乗った時から安心できたでしょうに。奥様も話す事が減ったかもしれないのに。
気遣いは、気配りだけでなく、目配りもこんなに重要なんだなという事を気づかせてもらった移動時間となりました。

できているつもりで、まだまだ出来てない事もあります。
気遣いを形にするには、五感を使わないとできないものですよね。

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