私が抜けても大丈夫な体制作り

リーダーや経営者が考えたいのは、自分の身にいつ何があるか解らないから、いつ自分が抜けても大丈夫なようにしておくことなのかなとつくづく感じました。

企業の自浄力というか回復力って凄いなと思うのは、数人以上のメンバーが居れば、一人抜けたとしても、何とかなってしまうことです。

けれども、何とかしなければならないから何とかなるのは一時的で、やはり対策がないと続かないという事も企業様との関わりの中で感じるものです。

だからこそ、「いつ抜けても大丈夫な状態」を作っていきたいものです。
とは言え、本当にいつでも抜けてもいいなら、その人は不要な人に感じられてしまうから、ついついそうならないために、自分の仕事を囲ってしまうという事が私自身も体験したことがありました。これは以前にも話したと思います。

しかし、短期的にはよいのですが、長期的に見ると、やはりメンバーと成長しあっていないといけないなと思います。

ある企業で、経営者が軽度の認知症であることが判ったのです。
判断のできるうちにと、経営者は、急遽、後継者の育成をしようと思いましたが、あまりに沢山考える事や、やることがあることにビックリして、後継者に育てたい人達が「私には無理です」と引き下がってしまうのだそうです。
また、最初から新しい候補を選出し、継承に向けて育成をする。また挫折。この繰り返しをしているうちに、認知症の症状も出始め、気持ちばかりが焦り、結局M&Aをすることにされました。会社の社員も含め、会社を委ねられたのでした。

このお話を伺った時に、抜ける側にも覚悟は必要なのでしょうが、任せられる側にも、せめて覚悟ができる多少の時間は必要なのだろうなと思うと、「こうなるであろう」という事が想像できない事には、誰でも尻込みしてしまう人間の癖を感じざるを得ません。
だからこそ、徐々に段階を踏んで、この先こうなるよと、想像できたり、覚悟をしたりできる時間を作ることも、体制を作っていく時や、人財を育成する時には必要なのだと思います。

前の職場で、「もしこうなっちゃったらどうするんですか?」と私がネガティブな事を聞くと、もうそれは想定済みだ。と経営者から回答があったり、リスクはあるけれど、そのリスクをカバーするだけの事も考えてあると話してくださいました。

「抜けても大丈夫」な体制づくりは、実は企業に一番大切な「リスク管理」なのではないでしょうか。

多くの会社が、今世代交代を迎えていらっしゃる時期のようです。
想定されているからこそ大丈夫なのでしょうが、心構えも十分ある後継者に、失敗しても軌道修正できる挑戦をさせてあげられる時期を作っていらっしゃらない経営者もいらっしゃるようです。リスク管理の仕方とともに、リスク管理の対処法もまた、受け継がれるといいなとふと思いました。

まあ、あくまで理想論にすぎないのかもしれませんが、先ほどお話した認知症になられた経営者も、お会いした時に、「もう少し前から準備しておけばよかった。最初から本番だもんな。今まで私がずっと経営に関しては一人でやってきてしまったから、急には大変だと思うよな。もっと早くに任せてみれば、私も安心して居られただろうに。ここまで頑張ってくれた社員を見捨てられないしなあ。もっと早ければ、違う方法もあっただろうになあ。」と、泣かれるんです。

その涙ながらに語られた事を、私の心の中に納めておくのも一つでしょうが、今のご時世だからこそ、もしかしたら伝えて欲しいから語られたのかなと思い、ここに書かせていただきました。

私でも、いつ何が起こるか解りません。
あなたも・・・。

急に何か起こっても、大丈夫なようになってますでしょうか。
私も、家族は大丈夫だと思いますが、仕事についてがまだそうはなっていないので、考えてみます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました