リーダーの根拠のない自信は、実は・・・

自分の可能性を信じられるようになると、根拠の無い自信が湧いてきて、躊躇いなく挑戦できるようになることがあります。
が、これがリーダーならどうだろうか。

チームリーダーであれば、どこかでフォローができるであろうから、挑戦するのも良いだろうけれど、経営者となるとどうだろうか。
経営者なら、根拠の無い自信に根拠を持つ事が重要なのではないだろうか。

私が、以前の会社で営業が成功し、徐々に事業規模を伸ばせるという時の事でした。
従業員を増やせば何とかなるという時には、その後の製造動向を確認してから増やすようにしていました。やはり先の動向が全く見えない中では10名以上を増員しなければならない時には募集にもコストが発生します。
その費用対効果も含め、先をシュミレーションして増員しました。

迷って経営者に相談し、決断を委ねたのは大きく2回。
1回目は、作業環境を増やす必要がありそうな程の仕事量ではあるけれど、作業規模を広げれば、お仕事が続くであろうことはある程度予測がつく時。
この時は、増やしたいけれど、作業環境が防塵ルームなだけに、コストがかかるのです。そのコスト回収も考えると、経営者と経理面での相談が不可欠でした。

経営者に相談すると、部屋に篭って何やら1日中やっていらっしゃいました。
その後、「よしっ、その仕事受けよう」と決断。お部屋に決断の知らせを伺いに入った時には、コスト回収のためのシナリオが出来上がっていて、「こうだから、回収はできるから、仕事は受けろ!」との決断で、根拠の無い自信なのかと思ったら、根拠のある決断へと変化していてビックリしました。

次の日の朝、社長室を掃除させていただくと、ゴミ箱には大量の計算した用紙が山のようにありました。
いろんな側面から、今までの数字を元に、計算をされていたことがゴミ箱を見て思いました。

もう1回は、得意先からの1割近い値下げ要求が来た時でした。
正直、理不尽だと思って、なんだかんだと理由を付けて、値下げ率を少しでもゆるくできないかを掛けあっていました。
その途中経過を社長にも報告はしていたのですが、またお部屋に篭っていらっしゃいました。

そして、次の日でした。「小林さん、頑張ってくれているのは有難いが、値下げ要求をのまないと、得意先がヤバイんだろう。計算してみたんだけど、今回の値下げは仮に受けたとしても、従業員の能力が上がってきているから、利益率は下がるけれど何とか乗りきれる。値下げ要求を受けてもいいぞ。」と。

前回同様に、掃除の時には大量の計算された用紙がゴミ箱にいっぱいとなっていました。
今回は、私自身が要求をのむ事が理不尽だという思いがあったので、その根拠となる計算を詳しく伺いました。

数字には嘘がない。説得力がある。
そう思いました。リスクを考えた上での計算のため、希望的観測ではなく、「最悪の場合」が想定されていたのです。
であれば、何とかなる。私としては、◯◯以上の仕事量の確保が課せられるけれど、値下げ要求を拒んで、得意先がなくなるのは本意ではないです。
結果的に、社長の計算の説得力に負け、値下げ要求を受ける事にしました。
(とは言っても、「理不尽だ」と思う自分の熱が下がるわけでもなく、一端は要求を受けましたが、別の所での配慮を社長に許可を得ないで、担当者レベルで要求して、結果としては10%カットを5%カットにしたのですが(笑))

決断というのは、先の事だから根拠がないようには見えても、過去から現在に至る数字から、根拠のあるものに出来る事を経営者から学んだ大きな出来事でした。

部下がする挑戦と、経営者がする決断は、質が違うと感じたのですが、根拠がないはずの先の事に、根拠を見つけられる事こそ、ドラッガー氏の本にもある「予見できない事はない」という事なのだろうなと思いました。

あなたは先の事の「根拠の無い自信」を、根拠のある決断に変える事はできますか。

私もまだまだ、今の自分には足りない所なので、来期は根拠のあるものに変化させていきたいと思います。

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