卵が先か鶏が先かの人間関係

「あの上司がなってないから、私がこんな嫌な思いばかりしなくちゃならない」と、何故かいきなり話してきた電車の隣のおばさま。きっと会社でも、どこでもこの方のコミュニケーションの取り方の癖なんだなあと思って、電車を降りるまで聴くことになりました。

上司がどんな人なのかを私に一生懸命説明して下さるのです。そうなんですねと言いながら、聞いていると、「ごめんなさいね。たまたま私の隣になっちゃったばっかりに聞かされちゃってるわよね。」と突然の低姿勢。

ふと、「その方とはどんな関係を作られたいのですか。」と口にしてしまったものだから、今度は、こうして欲しい、ああして欲しいと沢山おっしゃっていました。

そうですかあ。沢山ありますね。と伝えると、「そうよね。相手にばっかり求めたって、変わるわけでもないから、考えるのも止めるわ。ほんと腹が立っちゃうんだから。」と。

やっと弾丸トークが静かになって、周りにいらした方も、うとうとし始めた頃、再度話しかけられました。「あなたならどうする?」って。

「私はその方を知らないから、その場になってみないと解らないです。でも、私も何かを変えてみたら反応が変わるか試してみたいです。」と話してみると、「上司が変わるべきなのに、私が変わるってこと?あり得ないでしょ!あなたお人好しなのね。さっきから私の話しも聞いてくれてるし。ねえ。」「でも、なんで初めて会ったのに、なんでこんなに話しちゃったのかしら。溜まってるのねえ、私。ごめんなさいねえ。」「でも、上司もほんとは溜まってる事とかあるのかしら。まさかねえ。あの上司に限ってないか。」独り言を仰っていました。

思わず「その上司さんをお嫌いなんですか?」と伺うと、「そうねえ。上司じゃなかったら絶対近寄らないわ。でも辞めたくないから、我慢しているの。嫌いよね。ああ、でも私が嫌いって事は、相手も私の事嫌いかもしれないわよね。それじゃあ、上手くいくわけないわよね。わあ、どうしましょ。好きにはなれないけど、ちょっと私から話しかけてみるとかはしてみないと、仕事も上手くいかなくなるわよね。そしたらほんとに辞めさせられちゃうわ。そんなの悔しいから、ちょっと私から話してみようかしらね。それも悔しいけど、辞めるよりいいわよね。」
と長い独り言の後、「何だか私ばっかり話しちゃったわね。ごめんなさいね。」と、去って行かれたのでした。

そんな話しを伺いながら、人間関係のその部分に焦点当ててると、変わろうにも変われないけれど、「仕事を辞めなくてよいように」など、その人なりの目的が見つかると、何とかしようと思えたりするのかなと感じました。

しかも、上司に対する要望が多かった方が、いつの間にか「仕事を辞めないためには、私が変わるしかない」って自問自答の中で答えを見つけられたのは、素敵だなと感じました。きっとどっちかだけってないですものね。

さて、その方が去られた後、周囲の人たちは、何だか微笑ましい表情で、何人もが目を合わせてくれました。勝手に「お疲れ様」って言われているようで、不思議な気分でした。

考えてみれば、私自身も別に隣になった方の話しだから、聞かない選択もできただろうに。昨日は心にゆとりがあったのでしょうね。
その方との会話を通して、人間関係について、色々考えさせられました。

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