言葉が共有できているのか

とある企業様にお邪魔した時に、「成功しかしちゃいけないけれど、挑戦してください」というお題が出されていました。あなたなら、どう受け止めますか。

その企業様での会議のファシリテーターをさせていただきました。(私を除き5名の会議)淡々と発言する人だけが発言し、発言しない人はじっとメモをとっているだけに感じられました。何だか居心地が悪い・・・。

そこで、ファシリテーターとして伺いました。
私「ここでの話しは漏らしません。約束します。今、正直、どんな気持ちですか」

かなりの長い沈黙の後、1番若いAさんが口を開きました。
A 「正直、挑戦しろ!失敗は許さないってあり得ないと思っています。なぜなら・・・・・」
B 「話しの途中で悪いけど、僕もAさんと同じです。よくぞ口にしてくれたと思うのでちょっと途中だけど・・・続きどうぞ」
・・・中略・・・
C 「でも、上司命令だから、やるしかないじゃん。文句あるなら、失敗しないように考え抜けばいいじゃないか。意見も言わないで!」
D 「そうだよ。Cさんと僕だけが意見を出して、他の人は聴いているだけだろ!」
A 「そんなこと言っても・・・中略・・・」
・・・中略・・・
E 「僕は・・・。僕はAさん、Bさんと同じです。けど、そもそも挑戦とか失敗とかの意味が共有したい。」
C 「そう言えば、そうだよな。」

色々な気持ちが出され、Eさんの「挑戦」「失敗」って何なのかを共有することになりました。
このチームにとっての挑戦は「やったことのない事をやってみること」。そして「失敗は途中で諦めること」という事になりました。
つまり、一回の挑戦で成功させることを考えていたけれど、失敗はその挑戦から駄目だったことを更に改良していくことで改善され、成功に近づいていく。当然といえば当然なんだけど、そのことを共有してなかったよねという話し合いがされ、みんなの中で決まったのは、「一回目の挑戦を早めにしないと、期限までにある程度の結果が出せないという事」でした。

やったことのないことをリスク少なくは出来ても、完全になくす事はできない。できるだけ一回の挑戦にコストがかからないように、数回の挑戦で成果を得られるには、どうしたらいいのかと、全く違う意見交換がされることになりました。

いきなりという程、五人が一丸となって話を始めました。先ほどまでとは違い、CさんとDさんだけが話す場ではなくなっていました。

会議時間が二時間と限られていたために、残り三〇分になった所で声をかけました。
私「あと30分で何が決まっていれば、今日の会議は有意義になるのでしょうか。」
C 「そりゃ、次までに何するかが決まってないとなあ。」
E 「そもそも、次っていつ集まるんですか。」
A 「この調子だと、動き始めた時の手応えの確認もしたいし、1週間後に30分位だけでも・・。」
D 「いいね。会議ってまとまった時間じゃなくても食事一緒にしながらにしよう。こんだけ盛り上がってきたらやっぱ飲みニケーションでしょ。」
B 「じゃあ、smilecoachさんには1か月後の予定通りでいいですよ。けど、それまでに僕らちょっとがんばりますよ。楽しみにしててください。」
E 「飲むのはちょっと・・・。昼食じゃ駄目ですか。」
A 「そうだな。じゃ、ランチミーティングを来週ちょうど一週間後にしましょう。」
C 「なら、あとの時間で、この一ヶ月とこの一週間で何するかくらいは決めていこう。」

私は本当に数回話しただけなのですが、五人はその後も一か月後にどこまで行動にして、どんな状態を持ち寄るか。一週間後にランチするまでに、何を始めているか。感覚を持ち寄ると決められて、会議は二時間で終了しました。

終わった後にCさんが近寄ってきて言いました。
「smilecoachさん、このプロジェクトは絶対成功するよ。楽しみにしてて!」
その表情から、自信が伺えました。
最後にその場を後にしたEさんが、「いつもCさんは会議の後、怒って帰るんですよ。今日は雪でも降りそうです。僕自身もやっと疑問を口にできました。すっきりして集中できます。ありがとうございました。これからが楽しみになってきました。」とお辞儀をして帰って行かれました。

私自身もEさんの発言で、チームが一瞬にして変わったことを感じたので、去られる後ろ姿にもお辞儀をしました。

改めて普段使い慣れた言葉を共有することの大切さを感じさせられました。
一人ひとり受け止め方が違うからこそ、その点について一度考えて見ることは重要な事なんだなと感じさせられました。

私自身も5月から始めようと思っていた事があるのですが、そもそもその言葉を友人に話した時に、話していて気付かされた事もあり、軌道修正を加えることができました。これこそが、チームの個々の力を発揮するために、最初に行うと効果的な事ではないかとも感じました。
大きなプロジェクトメンバーを抱える場合にはどうなのか。これはまたの課題になりそうです。
が、来月お会いすることが楽しみになった企業様のプロジェクト会議でした。

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