「部下を本気で宝だと思ってみろ!」

ふとI社長の夢を見ました。私がリーダークラスの人達と部下の愚痴を言っていた時に、黙って聴いていたI社長が仰った一言をもう一度夢で言われました。「部下を本気で宝だと思ってみろ!」

なぜこの夢だったのか。自分が同じ言葉を言ってあげたい人が居るのか。それとも自分が言われる立場なのか。判らないけれども、せっかく覚えて起きた夢なので、伝える人が居るのかもしれないと思い、書いておきたいと思います。

当時、日系の優秀な方々にもお仕事を手伝ってもらっていたのですが、家族も使って欲しいとどんどん増えてしまいました。その中に、数字も読めない、動作も遅い、単純作業も集中力がない、とナイナイづくめに見える方がいらっしゃいました。

リーダーが集まるたびにその人の話しで、愚痴ばかりを言っていました。そこまでして雇う必要があるのだろうかと言う所まで話しは進んでいました。
それまで黙って聴いていたI社長が、突如険しい顔になりおっしゃいました。
「猫の手も借りたい程だと言ったのはお前たちだろ。猫の手よりも劣るのか?そんなわけはないだろ!だとしたら、そいつのせいじゃなくて、お前たちの知恵の足りなさだ。自分達が生かし切れない事の理由に、そいつの愚痴ばかり言ってるんじゃない!」

ここまで仰った後、少し間を置いて、ゆっくりした口調で続けられました。
「どんな子供でも、大人でも、使う側が本気で関わらない限り、そこまでだぞ。人はとっかえひっかえできるわけじゃない。縁があってここに来て、この会社がいいからって家族を連れてきてくれたわけだから、本気で宝物だと思って活かし方を考えてやらなかったら、俺はそいつらの前に、お前らを切るかもしれない。良く活かし方を考えてみろ!」

言い方は決して綺麗ではなかったけれど、ガツンと来た言葉でした。

当時、コーチングのコの字もない頃でした。周りのせいにして、自分達を正当化していたのかなとも思ったし、上司の責任とは何であるかを教えられた言葉でもありました。

目の前の宝物をどう磨くか。
原石を「なんだ、こんなもの」と蹴飛ばしてしまうのではなく、私達が磨いていかなくてはならないんだと思った瞬間でした。
そして、この瞬間にI社長が私達を育てようとしているのだという事も理解しました。「宝」だと思ってくれる上司に、磨かれてない宝を預けられたのだから、私達が磨いていかなくては・・・。

私達リーダーの意識も変わりました。
「数字を読めない部分をどこでカバーするのか」
「集中力のない彼が本領を発揮できる場所はあるのか」
「彼を高めていく方法はあるのか」
愚痴ばかりだった集まりが、急に目先が変わった途端に、全く違う方向の話し合いへと変化していきました。

そんな私達の変化を知ってか知らずか、彼ができる仕事を与えられ、活き活きしてきたら、徐々に集中力も増してきました。動く仕事なので、集中力が途切れても、違うところで集中できて、短い集中を動いた先々でしていくような状況に変化し、最後には他の人と同じ仕事もできるようになっていました。

数字は最初から部品や箱の数で指示するようにしておけば問題なくできるようになりました。

彼の変化を通して、私達の中に、「使えない部下は居ない」という前提を作ってくれました。まさに「宝」なんだと知ることができたのです。

ついつい最初から輝いた宝に手が伸びてしまうのだけれど、自分達で磨いた宝にはすごく愛着が湧きます。そんな体験をさせてもらった事を今夢見たのは何だったんだろう。
書いてみても判りませんが、「宝」を大切にしていきたいものです。そして、私もまた、その「宝」の一つのはず。

お互いに宝なんですから、大切にしあって、磨き合っていきたいものですね。

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