当たってる、じゃないでしょ!

少し前になりますが、とある企業様にお邪魔しました。企業に向けたコーチングを導入するにあたり、社員一人ひとりとお話させていただく時間を持ちました。けれども、その上司に対し、マネジャーって何する人なんだろうなと考えさせられました。

社員一人ひとりとお話させていただき、そこから私が感じ取った、その人の強み・モチーべションが上がる時、逆に下がる時・その人の隠れた潜在能力じゃないかなと感じられる事・どんな拘りがあるのか・何を目標にしているのか・・・など、感じるまま、聴くがまま、その人自身の能力というよりも、その人そのものについての事柄をかいつまんで報告させていただきました。

すると、担当のA氏は、「そうなんだあ。でも仕事で発揮してないよなあ。」というコメントがあり、「それを発揮させてあげられているか、という視点でも考えていただきたい」とお話させて頂きました。

その上で、報告しているうちに、「うん、大方当たっているかも」と感想として、私に伝えて下さったのです。
正直、嬉しくなかったです。その言葉って、部下を見ているのではなく、私を試していたように聞こえてしまったからかもしれません。しかも、その部下達に対し、当たっているかもと思うなら、どうして発揮させるような関わりをしてあげてないの?という疑問さえ浮かびました。

マネジャーのリーダーシップって、評価することも一つなのかもしれませんが、人の管理ってそれだけじゃないのではないでしょうか。
大企業並の組織であれば、業務の分担という事もあるのかもしれませんが、中小企業でのマネジャーは、その人達をいかに活かしてあげられるのかも大切な仕事ではないでしょうか。活かすという言葉に語弊があるとしたら、本領を発揮させてあげられるか、そして次の成長のためにその人にあったハードルを設置してあげられるかどうかなのではないでしょうか。

結局、私がその場でご提案したのは、マネジャー向けのコーチング或いは研修の実施でした。
きっと、私の「マネジャーとはこうあるべき!」という思いが提案させたのだろうと思います。あとは、社員の方々と話していると、本当に一人ひとり個性もありますし、エネルギーも持っているのに、上司とのやりとりの中で、「必死に考えても潰される」「どれだけやっても頑張っている人が報われない」など、絶望感を感じてしまい、努力することをどの時点からか、止めてしまって居ることが伝わって来ました。

上司の関わり、マネジャーの関わり次第で、この人達が本気になったり、本領を発揮した時というのは、どれだけのエネルギーに変化するのだろうと、聴いていてワクワクしました。
まあ、中には言葉は立派だけど、まだトライしてないのねという社員もいらっしゃるので、一概に全体が急激に変化するというわけではないのでしょうが、少なくとも半数以上は、上司との関わり方が変わるだけで、急激に変化するのではないかと感じられました。

A氏の話に戻りますが、「当たっているかも」という言葉の後に、「当たっているなら、どう接していきますか」「最初にどの方との接し方をどう工夫してみたいですか」などと、問いかけをしてしまいました。けれども、A氏は、「それは僕の仕事じゃないからね。」と一言。
「そうなんですね。では、確認ですがAさんのお仕事というのは、どういうお仕事なのですか」と確認したら、黙ってしまわれました。

きっと、これ私が男性だったら、私が喧嘩を売っているように取られてしまうことなのかもしれませんね。けれども、どうしても確認したかったのです。

かなりの沈黙の後、「せめてこの社員の上司に、僕が投げかけていける事はあるはずですよね。僕も社員と同じように逃げていると取られているのでしょうか」と言われました。私は「逃げているという表現は違うと思いますが、そう今感じられたのであれば、そのためにどうするかだけですよね。私自身は、Aさんも日々お忙しい方なので、逃げているとは思っていませんよ。ただ確認したくなっただけです。」とお伝えしました。

今まで、私の出した報告書を脚組をして聴いていたA氏は、下を向き、何かを考えているようでした。
少しの沈黙のあと、「僕がもう少し、自分の役割に対して明確にして、部下に接して行かないと、いつまで経っても変わらないんだろうなあ。」と小さな声で独り言のように仰っていました。

私は何も言えなかったです。自分も昔、そのことに気づいた時、自分が情けなくて、穴にでも入りたい気分だったからです。
だから、一緒に思考している時を数分ですが、一緒に過ごしました。

その後、A氏は、「うん!」と言いながら椅子の持ち手を叩き立ち上がり、「僕も頑張ります!」と気合が入ったように見えました。
あれから、少し経ちますが、今日あたり、A氏に連絡してみようかと思っています。疲れてないかな?ひずみが出てないかな?A氏なら大丈夫ですけれど、頑張っているなら頑張っているで、「見ているよ~」って伝えたい。余計なお世話なのかもしれないけれど、関わった人達が幸せになって欲しいな。私のエゴだけれど、気になるんだもの。

違う観点から言えば、当たっている!とおもわれる程度しか、私がまだ見れてないとしたら、知らない部分も見ていけるようになっていきたいものです。「ここまで見れるんだなあ」と上司の方々のモデルになれるように。(とは言っても、人を見抜くのではなく、ただ興味をもって知ろうとするだけなんですけれどね。)

A氏、お話させていただいた社員の皆様、その企業様、そして、私。
決めつけず、気づき、行動し、成長しあいたいものです。

コメント

  1. wakuwaku より:

    変化にもステップがあるのでしょうね!
    気づいてもらうこと、待つこと、空白を作ること・・・・いろいろな関わり方がありますね。一時的には、タイミングが早すぎたり、遅すぎたり感じることがありますが、本当は、きっとベストなタイミングで変化をもたらすための前準備なのかもしれません。

  2. coachsmile より:

    空白って、怖いんですよね。
    けれど、この後の変化が大きいです。
    自分も空白を最近は、意識して作るようにしたら、ジョジョにですが、怖がらなくなってきました。そして、変化を楽しめるようにもなってきています。
    これも体験でしょうね。
    待つ身としては、待つ事が大変だったりしますよね。ほんと、一歩一歩が大きいって事を認識していたいものです。

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