大きく進む勇気は、ほんの小さな半歩から

理想を持ってしまうと、その理想が崩れる事が怖くて、一歩を踏み出せなくなったりする事があるようで、理想や目標を持つこと自体を恐れている事ってありませんか。
コーチングで企業様の社員とお話させていただく中で、「目標がない」という言葉には、大きくわけて二つあるように感じました。「価値観を大切にされていて、目標というものの必要性を感じてない方」もいらっしゃれば、「目標を持っても、達成できないから、持たないと決めている方」もいらっしゃるように感じました。これは偏見かもしれませんが、こうした事を受け止めた上でのコーチングなのではないかと考えてしまいます。

とある企業様を訪れて、社員の方々とお話をさせていただいている時に、すごく意欲はあるように見えるのに、目標を明確にしてしまう事が怖いと仰って下さった方がいらっしゃいました。その方に話しを具体的に伺うと次のような事が出てきました。
・目標を自分で言ってしまうと、自分で自分の首をしめてしまう。ガツガツしたくないという価値観が邪魔をする。
・目標を持っても達成できなかった時のショックは大きい。つまり最初から出来ないかもと決めていて、挑戦目標は掲げるが、挑戦が怖い。
・目標を上司に知られたら、上司にその点だけで評価されてしまう。人という部分で見てくれていた視点が変わってしまうのではないかという心配。

思わず、「その気持わかる」と思いましたし、そうだよねと言ってしまいました。私も部下の時もそうですが、目標というものを意識する事から逃げていた時期がありましたから。

けれども、その方(以後Aさんとお呼びします)に、「すごく解るけれど、実際に小さな小さな目標でもいいので、目標を立てて見たことはあります?」と確認してみました。
すると、会社から与えられたものがあるけれど、とても私には荷が重いというのです。

よくよく伺ってみると、年間でAさんの昨年度売上より10%増の売上を望まれているのです。つまりAさんの中では月あたり0.83%の増です。稼働日が20日なので、一日当たりに換算すると0.04%以上をクリアしていけば達成できるのです。
Aさんに1日換算にした売上増分を計算してもらいました。その上で、具体的に行動を考えてみると、どうやら行動としては、毎日2件余分に訪問して、週に1件余分に注文をいただけたら、それでクリアできる事が明確になりました。少しだけ表情が明るくなりました。

「でもさ、これクリアしたら、どんな良いことあるんだろうね」と聞いても、会社が儲かるだけで、私にはメリットはないと言い切ってくれました。
「じゃ、続けてたら?」と話すと、考えた上で、「みんなも同じように達成していけば、会社が良くなって、私達にも還元されると思う。ただ、続けたらですけれどね。」と話してくれました。

どうも先の事よりも、今の一歩かなと思い、もう一度聞いてみました。
私「今までやれないと思っていた事が、近くなってみて、どんな気分?」
A氏「そりゃ、ヤル気が少しは出ますよ。でも、毎日ですよね。結構きついですよね。」
私「それって、今の基準で考えているように感じるよ。もし、2件増が普通になったらどう?」
A氏「普通になったら、そりゃ私ってなかなかやるなって思えますよね。」
私「うん。私もそう思う。ってか、4件位行けるんじゃないの?」
A氏「小林さん、欲張り過ぎですよ。でも、そうなるとやり方変えないと無理でしょうね。
   あっ、今、変えれば、もっと楽に回れるって事かなあ。」
私「あっ、それいいね。私もそう発想してみようかな。」
A氏「本当は、最初からそのつもりだったでしょ?でも、どう変えようかなあ。
   楽に2件回す方法ですよね。」
 (かなりの時間が流れた気がします)
A氏「わかった。◯◯ってすれば行けるかも。私、凄いかも。ちょっと4件いけちゃうかもよ」
私「あははは。そうだよね。でも、まずやってみないとね。やれそう?」
A氏「行けますよ。4件のつもりで2件行けば、確実ですよ。」

何となく気になっていた曇りはなくなり、心底明るい表情に見えました。

その後、一週間してメールが来ました。
「今週、訪問件数は13件増えました。が、なんと注文3件取れました。
 いかに楽して取るかって発想が入った事で、やり方を変えようと
 したら、訪問だけじゃなくて、訪問の仕方も試してみました。
 手応えありです。来週も頑張ります。凹んだ時にはフォロー頼みます。」
との事でした。

ちょっとでいいからやれることを探してみる。
それだけで変えられるきっかけになるのですね。

訪問企業先ではありながら、私の事のように嬉しかったです。
大きな一歩より、小さな半歩でも、積み重ねたら、ずっと成果が大きい。
そして、半歩踏み出せば、挑戦は楽に感じられるのではないでしょうか。

ちょっと最近あった出来事なので、体験を元に書かせていただきました。
私も小さな半歩、整理整頓に対して、踏み出そうっと。

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