リーダーの捨てる勇気

「捨てる」というと語弊があるかもしれませんが、「減らす」勇気というのも必要だと感じます。これは色んな点からも、体験からも感じる事です。

マーケティングなどで、常にニーズに対応していくためにも、常に2割の業務の入れ替えというものを考えていくことが必要と仰る方もいらっしゃいます。確かに、同じ仕事を続けていこうとすればするほど、飽きが来ないようなしくみは必要でしょうし、常に変化していくことが求められていくのでしょう。

この「変化」をするために、今あるものを「減らす」「捨てる」という部分が必要になるように感じるのです。これにはリーダーの決断力が必要となるように思います。

なぜこの話しなのか。

それは二つの事をふと思い出したからです。
一つは自分が後輩を持った時の事。そして、もう一つは仕事を変わらなければならなくなった時の事。

後輩を持った時に、正直自分の仕事を部下に回したら、私の仕事がなくなっちゃうんじゃないかと小さな心の私も居ました。けれども、後輩にお仕事を回さないと、結局手一杯で「部下が欲しい」とお願いした私の願いを聞き入れてくれた上司に申し訳ないので、どんどん仕事を回す事にしました。
心の小さい私は、部下が私の仕事を上手く回せない事が優越感に感じる時もありました。

しかし、そんな時期は長くなく、すぐに空いた時間で「本来やろうとしてやれてなかったことをすればいい」と気づくと、部下にどんどん仕事を覚えてもらって、自分のやりたくてもやれなかった事に割く時間を作ろうと思えるようになりました。
そうなってくると部下を成長させることが楽しくて仕方なくなりました。自分の仕事だと思い込んでいた仕事を任せる事で、暇になるどころか、一段とやりがいを持った業務を行えるようになってきたのです。「減らしてみないと判らないものだなあ」というのがその時の思いでした。

そして、仕事の中で積み重ねてきた経験や実績が認められ、「あなたに二代目を任せようかと思ってるんだ。考えてみてくれ!」と社長に言われた時、正直引き受けるつもりもありませんでしたが、そう思っていただけることが嬉しくて、時間を数日だけいただき、引き受ける覚悟をしたものでした。

しかし、そんな矢先にやめなければならない事が決定し、「これだけ積み重ねたものを、この一瞬でなくしていいのか」「この会社にずっと貢献していこうと決めたのに、ここで辞めて後悔しないのか」など、本当に辞める決断ができないまま、時だけが流れて行きました。

この時ばかりは、私の決断というよりは、時が待ってくれず、辞める事になってしまいましたが、時が経ってみると、その時なくしたと思ったものは、その後の私に影響を与え、今を支えてくれる原資となり、今の私の新しい仕事との出会いや継続につながっています。

この二つの経験をふと今日、なぜか朝目覚めて思い出したのです。
きっと少し前に決断した事があり、その決断が正しいんだと自分で思い込みたいのだと思います。その決断というのが、まさに「捨てる」勇気でした。実際に、捨ててみて、今は何だか淋しい思いでいっぱいです。
けれども、この捨てた事によって空いたスペースを、これからの「新たにやりたいこと」のために使っていけると信じています。

私にとって、新しいことをはじめる決断は、勇気でもなく、すぐに出来る事になってきているのですが、その新しいことをはじめるために「スペース」を空けるための決断が、私には勇気を必要とすることなんだと感じます。

新しいことをする不安は、これからどれだけでも作り変えながら払拭していけるけれど、既に「安泰」であるものを手放す勇気は、非常に怖い事だと感じています。
できれば「スペース」を空けるのではなく、部下を持った時のように、容量を増やし「新たなスペースを作る」という発想にしていけたらいいなと思っているのですが、今の状況ではまず、そのためにも、自らの「スペース」を空ける事が先だと熟考し、決断したのでした。

曖昧で伝わらないかもしれませんが、「捨てる」「減らす」って勇気がいりますよね。
そんな決断を日々行なっていくリーダーの皆さんの大変さや勇気を改めて尊敬しながら、自分も決断をし続けていきます。

自分が後戻りしないように、ここに書いておこうと思います。
そして、それが一人でも多くの皆様の考えや思い、感情と触れ合えたなら嬉しいです。

コメント

  1. 富岡智子 より:

    私が、今まさにやろうと決めた事、やらなくてはいけない事です。
    決めましたが、実行はむすがしく、とても悩んでいました。
    背中を押された思いです。
    明日から計画的にスタートします。
    ありがとうございます。

  2. coachsmile より:

    富岡さん、大変だからこそ空白を作っていく。
    一緒にやっていきましょう(^^)

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