「問題がない」という人達

研修やコーチングの中で、「特に何の問題もないんです」という言葉を聞くことがあります。
別に問題についてばかり話す必要はないと思いますが、仕事の中では、自分で課題を発見し、解決していく力が求められているのも事実です。本当に問題ってないのでしょうか?本当に問題って必要なのでしょうか?

そんな事を考え始めたのはもう8年位前になるでしょうか。しかし常に意識をしているわけでもなく、日々の仕事の中で、課題が浮かび上がり、その課題を繰り返していく事が当然のように行われていました。

そんなある日、コーチとのコーチングセッションでコーチングを受ける時にテーマが見当たらなかったのです。「今は自分で物事解決できるようになってきたし、順調だから、何もコーチに話す事はない」と思っていました。

にもかかわらず、コーチに「何か気がかりとかはあるでしょ?」と言われるんですよね。
そのコーチだったからだけではなく、NLPのトレーニングの際にも、「いや、あなたにはあるはずだ!」と決めつけられた感を感じるような問いがあり、コーチングにしても、NLPのトレーニングにしても、無理矢理テーマを出している気になり、非常に不愉快な思いがしたことがありました。

何だか「問題や課題がなくちゃならないのか?」という疑問が、再浮上したのでした。なくはないけれど、自分で解決できればそれでいいんじゃないかと。

ところが、当時その疑問について、さらなる問いを促してくれる本と出会いました。

この本で、実は普段問題や課題と思っていることも、本当は何の問題もなく、自分の中の欲求や願望が根っこにあって、その事に気づかず、欲求を自分のために埋めているに過ぎない事もあったり、本当に周囲の事を考えてしている事だったり、混在している事を知ったのです。

しかも、課題解決できる事は、仕事の中の効率化や、皆にも跳ね返るものになるけれど、欲求に関する問題は解決したつもりでも解決しきれなくて、何度も何度も浮上して、イライラとした問題として、消えないことも仕分けができるようになりました。

そんな時に、コーチとその自分の欲求を見たす方法を考えたり、自分の感情が何に反応しているのかを感じてみたりすることをしているうちに、仕事で欲求を満たそうとすることはなくなっていきました。

その時にやっと感じたのは、「問題がない」という人は、仕事に対する欲求が見当たらないのだろうなと。そして、課題を発見したらすぐに解決に向かう行動が取れていたりするんだろうなと。
ただ、中には、課題や問題という言葉がピンと来ないだけで、「更によくしていくために、足りないものは?」という未来に向かう問いに関しては答える事のできる人もいらっしゃるのではないでしょうか。
また、「今のままで続いていけばいいと思う?」と聴いてみると、そうではないと応える人も居るかも知れません。この人はまだ「課題」に気づいていないけれど、今のままではいけないことをそこで発見したのかもしれません。

つまり、「問題」や「課題」という言葉だから反応しない人も中にはいらっしゃるのではないでしょうか。

私がされた「問題はあるはず」と決めつけられると抵抗する人も、「更に」という事であれば、何か課題を見つけることや、不足していることを発見できるのかもしれません。

それでも「問題がない」と言える人って、ある意味幸せなんでしょうね。
ただ、正直に言うと、経営に携わるようになると、変化する社会に対し、このままでいいと言っている人達が何に対してそう思っているかは聴かなければならないでしょうが、何となく違和感を感じざるを得ません。
経営側であれば、変化していく事が楽しいと思えるようになっていく仕組みを作っていく事も大切なんだろうと思います。
そして、部下だったら、わざわざ安心安全じゃない不安定な事に挑戦するならば、このままでいいと思う人も居るでしょうが、変化を自ら楽しめるよう、これからをこうしていきたいという願望も持っていいのではないでしょうか。

人が人として心地良く生きていこうとすると、仕事をしていく事って、もしかしたらストレスだと感じる人も多いのかもしれません。見方を変えれば、願望を達成させるためのハードルであるのかもしれません。

ちょっとだけでいいから、明日を、未来を、創造してみませんか。

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